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再開発後のまちに感じる違和感

こんにちは。
建築設計の経験がないのに、建築設計事務所を経営している伊貝です。

今日は、私が、再開発後のまちに感じる違和感について、書いてみたいと思います。

私が住んでいる東京都中野区のJR中野駅周辺は、警察大学校跡地を中心に「中野四季の都市」などの再開発が行われ、現在も、駅ビルの建設や区役所の建替えなど、複数の再開発プロジェクトが進行中です。

再開発が終わったエリアは、きれいになり、住民や交流人口も増えて、とても良い環境になったとは思うのですが、私は、何か、違和感を感じていました。
「何かが足りない・・・」
芝生のある広い公園で、家族連れがくつろいだり、若者がボール遊びをしたりする姿を見ながら、私は、そんなことを、ずっと感じていました。

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この違和感は何なのだろう?
色々と考えてみた結果、ある考えに至りました。

再開発後のまちに感じる違和感、
それは、
「孤独な大人の居場所」
がないことです。

日本は、少子高齢化社会です。
それは、つまり、孤独な大人も増えていくということです。
それなのに、再開発後のまちには、「孤独な大人の居場所」がない。
これでは、孤独な大人は、ますます孤独になっていくのではないか。
それこそが、私が感じる違和感の正体でした。

再開発の前、孤独な大人達はどんなところを居場所にしていたのでしょう?

多くは、行きつけのお店や、パチンコ店だったと思われます。
そのような場所には、顔なじみがいて、店主や顧客同士のコミュニケーションがあり、何か困ったことがあると相談できるような、ある意味、セイフティネットとしても機能しているような場所だったように思います。

孤独は健康寿命にも大きく影響するとの研究報告もあるようですので、孤独の解消は、今後の日本に必要な施策だと思います。
それなのに、再開発後のまちには、「孤独な大人の居場所」がなくなってしまうのです。

なぜ、再開発で「孤独な大人の居場所」がなくなってしまうのか?

おそらくですが、再開発により、1F路面店の間取りは広くなり、地価も高騰してしまうので、地元の個人経営のお店は入居できず、大手資本の飲食店等しか入居できなくなってしまうことが大きな要因ではないかと思います。
経営的にも、多くのお客さんを回す必要が出てきますので、いわゆる「行きつけのお店」のような人間関係が生まれるようなお店は、出店を続けていくことが難しいのだと思います。

では、どうすれば良いか?

私は、これからの再開発計画の中に、意識的に「孤独な大人の居場所」ができるような仕組みを組み込んでおくことが必要ではないかと考えています。
例えば、
・地元の個人経営店を優遇するスペースを確保する(優先枠を設け、賃料を安く設定するなど)。
・移動式パーテーションや屋台のような仕組みにより、大規模店でなくても出店できるようにする。
・飲食店だけでなく、60歳前後の方が集う教室(料理やスポーツ、PC、陶芸など)の出店枠を設ける。

「孤独な大人の居場所」を設けることは、住民の健康やサービスにつながるとともに、生涯現役の生き生きとした地域創生に合致するのではないか?
そんなことを考えてみました。

ではでは。

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