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イベントレポート:【変わらなきゃ症候群】に陥ったデジタルマーケティングの未来


はじめまして、サトウリュウタと言います。
このnoteは、自分もスピーカーとして参加した、以下のウェビナーのまとめ記事になります。

ウェビナーに登場したのは、こちらの3名。

・制作会社「nanocolor」代表:川端さん
・WEB広告代理店「onestar」クリエイティブ局長:サトウ
・制作会社「503」代表:陰山さん(ファシリテーション)

それぞれの視点から、デジタルマーケティング周りの「変化」について語っていきました。

◆スライドは以下にアップしています。
・本編
https://speakerdeck.com/sateo0859/2-dot-5place-change-syndrome

・補足
https://speakerdeck.com/sateo0859/2-dot-5place-change-syndrome-appendix


今回のウェビナーのお題

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お題はずばり、「Change Syndrome(変わらなきゃ症候群)」です。

コロナ以降、いろんなことが変わりました。僕自身、いろんなウェビナーに参加しましたが、とにかくもう、変化&変化&変化。

完全に、変化を強いられてます。

以前から川端さんが、「変わらなきゃ症候群だよね」と言っていて、うまいこと言うやんと思いつつ、でも、残酷な表現だなあと思いつつ。

でも、正直そうなんだと思います。変わらなきゃという思いだけが、前を走っている感覚。そんなに前を走られても、ぶっちゃけ追いつけないです。

でも、だからこそ、今回のウェビナーで話したかったのが、

「変化と思わない」
「進化と考える」

ということ。

「変化が前を走っていて、それを追いかけている」、のではなく。
いま、リアルタイムで変わり続けているのだとしたら、「それに適応していこう=進化していこう」にした方が良いんじゃないのか。

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そんな思いを込めて、「進化」という言葉をあえて出しました。

その上で、「じゃあ、デジタルマーケティング業界には、どんな『進化』が求められるの?」を語っていったのが、今回のウェビナーです。


アフターコロナで僕らが進化すべきこと

特に語られたのが、次の3点です。

①代理店と制作会社、仲悪い問題
②進化すべき「ユーザー理解との向き合い方」
③デザインとビジネスの越境がはじまる

ちなみに、1番盛り上がったのは①でした(しかもあんまりコロナ関係ない)。終始、代理店側の人間である僕が、制作会社の社長に詰められているという構図でした。

というわけで、さっそくその話から参ります。


代理店と制作会社、仲悪い問題

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この問題、お心当たりある方、多いと思います。
さっそくウェビナーの前半から、川端さんの火の玉ストレートが飛んできました。


川端さん:例えば代理店さんは、デザイン依頼を出してくるとき、「どれが何の参考になるのか」も不明確なまま、膨大なピンタレストを渡してくる。やりとりに、不備が起きすぎる。だから、代理店案件は、極力やらない。直案件しかやらないと決めた。

代理店側としては、耳が痛いです。痛すぎます。ウェビナー中は、苦笑いで逃げてましたが、すみません。

でもこれ、問題の根っこは意外とシンプルで、

・その役割に必要なスキルを持つこと
・責任を果たすこと

という、この2点なのかなと思っています(反省中)。

たとえば代理店の制作は、「広告作り」が役割だとしても、マーケティングの知識は持ってて当たり前です。そしてその上で、デザイン会社に対する責任を果たすべし。ここに尽きるなあと思います。

よく、僕たち代理店の人間は、「自分たちは、マーケターなのか?」「なんなんだ?」と、自分たちの「名称」がよくわからなくなります。でも、その「名称」に深い意味はないんだなと思います。マーケティングをちゃんと理解して、制作会社に対しても責任を果たす。コレ以外にないです。

一方、デザイン会社からすると、これは超チャンス。
デザイン会社がビジネス思考・マーケティング思考を持つと、代理店との力関係は逆転します。

デザイナーが、そういった思考を身につけるためにはどうすべきか、その手ほどきは、以下のnoteをご参照ください。


進化すべき「ユーザー理解との向き合い方」

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コロナ以降、ユーザー理解への向き合い方を、なぜ進化させるべきか。
その理由は、次の2点です。

①オンライン上でインタビューしやすくなったが、生の対面に比べると、けっこう心理が見えづらい
②with&アフターコロナにおいて、ユーザーの生活は変化し続ける


特に①が根深いと思っています。
zoom飲みでも感じると思いますが、対面よりも断然、伝わってくるものが少ないんですよね。もちろん、感情も見えづらい。オンラインインタビューってすごく便利なのでいま流行ってるんですが、深層心理がけっこう見えない。

なので、ユーザー理解の仕方をアップデートしていかなきゃ、と強く思います。

「ユーザー理解」っていっても、たくさんありますが、大きくは次の3つに分かれるんだろうなと思っています。

①どんな消費行動をしているか
②なぜその消費行動をしているか
③うちの商品も買ってもらえそうか

で、今回解剖したいのは、②の「なぜ?」の部分。ここを解き明かしていかないと、ユーザーのことはつかめません。

例えば、「レッドブルを買うユーザー」のことを考えます。

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たかがレッドブル、されどレッドブル。

購入までに、いろんな分岐点があるわけで、もはやカオスです。いろんな知識を総動員しても、よくわからないです。(それぐらい奥が深くて、だからこそ面白い)

で、ここにプラスして僕の方から、次のようなことをお話しました。

「ユーザーの消費行動に迫る」とかじゃない。
「ユーザーの人生に共感し、受容する」必要がある。

例えばいま、あなたがレッドブルを買ったとして。
でも、その購入理由は、過去の人生にしか存在しないと言えます。

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ここでまたまた、川端さんが、良いこと言ってました。

川端さん:ユーザー自身の人生(に近いもの)を経験してないと、ユーザーには迫りきれない。

本当に、この言葉がすべてです。悔しいですが、これがすべて。

例えば大学時代、尊敬していたイケメンの先輩が、エナジードリンクを飲みながら夜通し麻雀を打っていたとして。たった、そんな思い出ひとつで、10年後のいま、レッドブルを選択する可能性は上がると思います。

なので、「消費行動」という一点を見るのではなく、可能な限り過去から、ユーザーの人生を紐解くことが必要です。


また、ユーザー理解についての補足として、「ニーズと欲求の関係」もお伝えしました。「ニーズ」ってめちゃくちゃ便利ワードなので、簡単に使いがちですが、意外と定義が難しいです。

で、僕の中でニーズとは、「あるシーンにおいて、欲求が具体化したもの」という整理をしています。

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なので、「ニーズ」というものをつかみ取りたいときは、「どんなシーンで、どんな欲求が刺激されるか」を、1秒1秒、丁寧に読み解いていく必要があります。

例えば、「ママさんの朝のシーン」ひとつとっても、毎秒、めちゃくちゃ欲求が刺激されていることが分かります。

(参考)しんちゃんのみさえの、朝のシーンです
https://www.youtube.com/watch?v=Er2jUvJM0sk

上記の動画を見ると、「朝が大変なママさん」というターゲットニーズの設定では、明らかに不足していることが分かります。

毎秒毎秒、いろんなニーズが積み重なって、その先で、人は消費行動を起こします。やはりカオスです。


あとは、定性調査のコツとして、以下の4点も掲載しておきます。

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ちなみに、「ジョハリの窓」というのは、「お互いに、どれだけ心のうちを明かしているか」みたいな考え方で、たくさん明かし合っていればいるほど、仲良くなれるよね、という感じです。(ウィキペディアさんはこちらです)

ウェビナー中のコメントで、「インタビュアーはおばちゃんが最強」という話もありましたが、おっしゃるとおりだと思います。


デザインとビジネスの越境がはじまる

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続きまして、コロナ以降、ますます加速するのが「デザインとビジネスの越境」だと思います。「デザインスキル・ビジネススキル」、どっちも求められるよねというイメージです。

背景にあるのは、「オンラインシフト」です。

今後、マーケティング業界の変化の1つに、「プロモーションのオンライン化(特にSNS等)」があると思います。インスタショッピング始めたり、SNSで商品紹介していったり。そういうのが、今よりもっと増えていきます。

で、その先何が起きるか。

ここからはさらに仮説ですが、オンライン化が加速すると、「世界観の奪い合い」が起きます。

例えばすでに、インスタ上では、「似たような世界観の、似たようなブランド」がひしめき合っていると思います。タイムラインが、けっこう同じ色味で埋まってたりします。こうなると、ブランド側は大変です。自分たちの存在が、どんどん埋もれていってしまいます。

ですが、そんななか力を発揮するのが「デザイン」「ブランドの思いや世界観をデザインで表現する」ことが、一層求められます。

なんならその世界観を、「マーケティング全体に跳ね返す」という動きが起きると思います。以下みたいな感じで、逆流しながら、「ブランドの世界観」が反映されていくイメージです。

佐藤単体のスライド

こうなってくるともう、いよいよ、デザインだけ出来てれば良いという話でもないし、ビジネスだけ理解してれば良いという話でもなくなります。超大変です。

なので少しずつでも、デザイナーさんは、ビジネスを。WEB広告代理店側は、デザインを。

それぞれが、そんな感じの越境をしていくことで、人材価値はぐーっと跳ね上がるはずですし、この先の変化にも、きちんと適応できる人材になれると思います。

ちなみにこれもまた悔しいですが、「デザイン×ビジネス」の越境をすでに行い始めているのが川端さんだと思っていて、ウェビナー中に発言された以下の言葉が、すごく印象に残っています。

川端さん:僕らはデザイン会社なので、「売れるサイトって、どんなところに気をつければ良いですか?」と聞かれたりします。
でも、そもそも、サイトだけで売れるわけではないし、集客情報含め、さまざまな積み重ねがあって、その一部がサイトであって、なので、サイトだけで売れるなんてことはあり得ない。全体を見なきゃいけない。

この視点を持つことこそが、「マーケティングから見ようとする」ということだと思います。デザイナーさんは、バナーやサイトの制作だけに従事しがちですが、ふと俯瞰して見てみると、色々な違和感があるはずです。

「そもそもこのサイトを作って、何をしようとしているんだ?」
「どんな数字を目指しているんだ?」

そういった違和感から、ビジネス的な視点が少しずつ開かれているんだろうなと思います。


知識の越境、そしてさらなる進化に向かって

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僕たちWEB広告代理店とデザイン会社は、溶け合うことで、互いの価値を引き上げることができると思います。そして、同じことが、多くの領域で言えると思います。

UIやUX、ライター、動画演出etc…。

多くのプレイヤーが、越境によって可能性を高めることができるはず。
でも、そんな現実があるにも関わらず、フリーランスの方からすると、なかなか知り合いがいなかったり、会社員だと社内に人材がいなかったり。

はたまた、オンラインサロン等では、実践がないのでスキルが身につきにくかったり。

思えば、越境しにくい状況にあるなあと、ここ最近、すごく痛感していました。

だから、川端さんが、「こんなことコミュニティやりましょうよー」と言い出した時は、胸が踊りました。

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「変わらなきゃ」と迫られる時代に、それを実践できる場があっても良いと思うのです。進化し続けられる場所は、いくつあっても良い。

この「2.5」というコミュニティも、「進化できるきっかけ」になるような、そんな場所にできればと思いますし、そして何より、そもそも今回のウェビナーも、そんな内容になっていたら最高に幸せです。

改めて、当日起こしくださったみなさま、そしてこのnoteを読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました。

これからも、皆さんと一緒に、進化していきたいと思います!よろしくお願いいたします!

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