見出し画像

『珈琲一杯。』 2

画像1

5~8編目です。
5編目のみ無料で読めます。(よかったら1編目も読んでみて6編目以降を読むかご検討ください)

2:40 p.m. コンビニ

 午後の仕事は段々と倦怠感を増してくる。
 二時半も過ぎるとやる気は底辺に近い。
 うーん。
 一つ伸びをすると恭一郎は諦めて自席を立った。

 コンビニへ行く途中、自販機のカップを両手で持った神田さんとすれ違い、会釈を交わした。
 彼女の持っていた蓋つきカップはただの自販機のコーヒーではない。その場でミルで豆を挽いてくれる、一杯二百五十円のコーヒーだ。
 リッチだなあ、と思いながら、恭一郎は自販機コーナーの横を通り過ぎ、コンビニへ向かう。
 ホットコーヒー百円。
 お小遣い生活の身にはありがたい代物だと思う。
 やる気の落ちてきた午後のカンフル剤みたいなもんだし。そんなに贅沢は言っていられない。
 や、コンビニコーヒーもおいしいと思うけどね?
 紙カップを受け取ると、レジカウンターの傍らのコーヒーメーカーへセットしボタンを押してコーヒーが入るのを待つ。
 ぺらい紙カップ、コーヒーの香り、一気に注がれる黒い液体。
 ピーピーと音が鳴って、恭一郎は紙カップを取り出すと蓋をして歩き出した。

 さーて、放置してきた調査再開しますかー。
 思ったより面倒くさかったなー失敗したなー。まいっかー。あっちの案件も気にはなるけど、ま、神田さんだから大丈夫っしょ。あー今日は何時になるかなー。

 自席に帰ってコーヒーをひとくち。午後の業務再開、恭一郎の午後二時五十分。

ここから先は

3,227字 / 1画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?