2016年の短歌

(tumblrに置いてたものたち)

君がため 惜しからざりし命だと、いってしまった
いてほしかった
(20160404)

「君が好き」 言ったそばから はじけてく
聞き返す君も ソーダ水越し
(20160408)

遠くなる君の視線のその先は
追いかけなくても、きっとあの子ね
(20160411)

その腕が抱え込んだは 目に見えぬ
心の翼か 夢の卵か
(20160414)

板の上
色を変えゆくその声が 見せる景色を、もっと見せてよ
(20160424)

君の目に映る未来を観たかった
今はその影、遠く眺める
(20160429)

晴れた日に平服で行く墓参り
空をゆらりと飛行船行く

青葉繁り、墓所の木には白き花
道の花見て春と知るかな
(20160430)

友来たり 緑の狭間で花咲かす
夏が近づくレモンスカッシュ
(20160522)

白い空 いろいろな声が飛び交う
明けゆく町は鳥たちの国
(20160523)

青白き 透けるようなその肌の下を流れる血も赤いのか
(20160913)

何事も「どうでもいい」と言い捨てる君は彼には何を見てるの?
(20161008)

濃紺を塗り込めた空のこの夜はいつか過ごしたあの海の底
(20161023/『無何有の淵より』感想)

ふたりでもひとりと同じとそう言って、きみは笑って僕は動けぬ
きみのそばへ行けない僕を嗤うよに きみの隣で秋風が鳴る
(20161031)

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