見出し画像

現代アートって

ショップに入ってらしたお客さまの中に「ここは何のお店ですか?」と聞かれる方が時々いらっしゃいます。「現代アートショップです」と答えるとそのまま不思議そうに出て行かれます。「百聞は一見に如かず」ともいかず、目にして理解しようとする前に答えを求める方にカテゴリーで括っても難しいだろうなとは思います。
現代アートの解釈は人それぞれだと思いますが、私はザックリと「今を生きてる作家の作品」だと捉えています(もちろん他にも色々と付随するものはありますが、筆頭はコレかなと)。

現代アートの醍醐味は、同じ時間を生きている作家の作品を鑑賞できることです。展覧会では新作にも出会えます。自分と同じ時代背景の中で、自分が気づかなかった事に気づかされるような作品だったり、自分の生活をさらに豊かにしてくれるような作品に出会ったりできるのです。その作品は自分の生活している今まさに世界のどこかで生み出されているのです。

「アート」とか「美術」とか漠然としたワードのせいか「何が良いのか分からない」ともよく言われます。音楽やファッションと全く同じじゃないかなと思います。
日常生活の中で音楽や洋服を選ぶ時は、自分が「スキ!」って基準ですよね。「良いか悪いか」を他の人に尋ねたりしないのではないでしょうか。(オススメを参考にするなどはもちろんあると思いますが。)作品も同じだと思います。
「良いか悪いか」という話をするのであれば「洋服」を思い浮かべて下さい。いわゆる海外高級ブランドなハイエンドなお店で洋服を見て歩いた後に、近所のスーパーで洋服を見ると、生地の質感や縫製の出来みたいなことが圧倒的に違うことに気づくと思います。どちらが「良い悪い」という話ではなくて「違い」です。それは「違い」であって、あとは「好み」です。

もう一つの大きな特徴は自分が作品を購入することでその作家に還元できるということです。作品を所有する場合、購入は「プライマリー」と「セカンダリー」と分かれます。「プライマリー」とは作家から直接、ギャラリーなどが預かり、販売している作品です。「セカンダリー」はプライマリーで購入した作品を購入者が販売している場合です。この違いはお金の流れです。「プライマリー」として購入された作品代金は作家に届きます。ですが「セカンダリー」の場合は、転売した人へ渡ります。作家への還元はありません。「プライマリー」であれば、自分が好きで購入した作品の代金が作家に渡り、それが作家の次の作品への資金となっていくのです。自分の好きな作品や作家自身をサポートできるのです。

作品の楽しみ方は色々です。ただただ眺めているだけで面白い作品もあれば、作品のコンセプトや背景を知ることでもっと理解が深まり面白さが増す作品もあります。「よく分からない」と言われることが多いですが、もし「何か」引っかかることがあれば、ぜひ調べてみて下さい。いろんなヒントが見つかると思います。そのパーツを集めることも楽しみ方の一つです。「見ても良くわからない」と言われる作品はその「謎解き」も含めての楽しみ方なのです。

作品の楽しみ方はそれぞれです。映画と同じで自分の経験値で見えてくるストーリーが全く異なるのではないかと思います。ぜひ、お気に入りの作品を見つけて手元に置き、生活の一部として楽しんで頂けるとうれしいです。まずは最初の一点を部屋にかけてみて下さい。今までと何かがガラリと変わるかも知れません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?