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生きる「意味」こそ、ウェルビーイングの指標

近年幸せの研究が進み、ウェルビーイングへの関心も高まってきた。企業活動においても人々のウェルビーイングを実現することがトレンドになっていることが感じられる。

幸せとは、ウェルビーイングとは何なのか。

アメリカの著作家、エミリー・エスファハニによれば、近年の幸福の研究では人生における「幸せ」と「意味」を混同してきたという。

美味しいものを食べて感じる幸せ。ダイエットに成功したときに感じる幸せ。会いたい人に会えた幸せ。大きな案件を受注できた幸せ。子どもが逆上がりできたときの幸せ。

幸せはその瞬間を切り取る。快楽と表現すると下世話に聴こえるのであれば、嬉しさと表現しよう。

嬉しい、という感情はずっと続くわけではない。大事なのはその感情の背景には何があるのかということだ。

あなたはなぜそれが嬉しいと感じたのか?
そして、ときには苦しいと感じながらも不思議な充実感を感じることもある。

10キロマラソンを走り終えたとき。周りから罵倒されながらも仕事を完遂できたとき。壮絶な介護の末、最後にありがとう、と言われたとき。

その過程は幸せとは言い難いものだったかもしれない。
なぜそのような過程に人々は従事するのか?

そこには幸せという一言で、言い表せない概念が見え隠れする。
それが意味を感じるかどうかということなのだろう。

エスファハニは人生の意味を4つの柱として類型化した。

①Belonging 
人とつながること。仲間とつながること。家族とつながること。つながりが意味を強め、生きていく力を強くする。あなたが感じているつながりは何か?

②Purpose 
パーパスは、企業経営やキャリアデザインなどの場でもよく使われる言葉となった。大それたものでなくとも良い。なぜその行動、活動、仕事を続けるのか、が生きる者の背中を後押しする。あなたを突き動かすパーパスは何か?

③Storytelling 
あなたのターニングポイントは何だろうか?感動体験・成功体験だけでなく、挫折の経験、絶望を感じた瞬間ほど、振り返れば、その人の人生に生きる意味をもたらし、人生を豊かにする。

④Transcendence
登山や森林浴など、壮大な自然や仏殿など神聖な場所に身を置いたときの経験を思い出してほしい。超越した存在を感じたことはないか?自分が小さく感じられる一方で、一つひとつの命の大切さを感じたことはないか?

ウェルビーイングとは、画一的な価値基準で測られるものではない。
あなたが相対している会社組織、学校、母親だったり父親だったり、世間一般から送られる評価やプレッシャーは幻想で、大事なのは自分自身の生き方に納得できているかである。
それはいき過ぎた個人主義の発想からではない。むしろ①Belongingのように他者や社会という関係性の中でこそ、自分のウェルビーイングは実現できるものである。その中でいかに自分の人生の意味を感じながら、時に苦しみながら、時に喜びながら生きていく追求のプロセスがウェルビーイングだと思う。

資本主義は私たちに経済的価値をもたらしたが、同時に勝者と敗者をつくってしまった。さも人間に優劣があるかのような考えは、社会的分断を生む。例えば、コロナ禍で私たちが感じたエッセンシャルワーカーの方々への感謝の気持ちはなんなのか。同時に自分がコロナが引き起こす問題解決の主体者になることを避けてしまう気持ちはなんなのか。
私たちは、分断を超えた先にある本当の意味でのウェルビーイングを目指す社会づくりに半径5mから挑んでいきたい。

参考:
<The power of meaning : finding fulfilment in a world obsessed with happiness>  Emily Esfahani Smith 


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