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日本人が目指すべきバイリンガルの定義は?

帰国子女=バイリンガルではない
僕が英語塾キャタルを始めた頃、驚いたことは、帰国子女でも英語ができる人とできない人がいるという事実でした。喋っただけでは一見分からないけれど、エッセイなどを書かせてみると、きちんと書けるか書けないかで英語力が如実に現れます。もちろん、発音なども大切ですが、それ以来英語力が高いということは、書けるということだと思うようになりました。日本語でも、短い時間で会話をしただけでその人の国語力を推し測るのは難しいですが、レポートやエッセイの一つでも書いてもらえば、その実力は如実に現れるでしょう。適切な語彙や表現でロジカルに物が書けるかどうかは、英語でも日本語でも語学力を示す大切な指標だと思います。

多くの帰国子女を見てきた中で、きちんとした英語を書けるかどうかは、どれだけ英語圏にいたかという滞在期間の長さではなく、どれだけ英語で物語を読んできたかに深い関係があることが分かりました。例えば、小学4年生で日本に帰国した子がいたのですが、その子はお母さんと一緒に年間100冊の英語の本を読んでいました。中学生くらいからは、自分で好きな本を読み続け、結果としてイェール大学へ進学しました。英語ネイティブでも、小学4年生なら、英語力はまだそれほど高くないので、帰国してからの読書習慣が導いた結果だと言えます。海外のESL(English as a Second Language/英語を母国語としない生徒のための英語習得プログラム )でも、ストーリーを読むことがカリキュラムの中心にあります。物語を読む=英語力が上がる、というのはESLでも広く採用されている確立されたメソッドといえます。

TOEFLで100点がバイリンガルへの入口
こうした経験から「バイリンガルってどういう人?」かを考えると、やはり「きちんとした英語を書ける人」だと思います。英語が書けると言ってもレベルは様々ですが、ひとつの目安としてTOEFLテストで100点が取れることだと言えるのではないかと思います。TOEFLでは、リーディングとリスニングのインプットに加え、ライティングとスピーキングのアウトプットも等しく測られ、ライティングにおいては英語できちんと思考が出来るかを示さなければなりません。

なぜTOEFL100点かというと、そこがアメリカのIVY Leagueや州立大学などのトップスクールで、非英語圏からの生徒の英語を測る足切りラインに使われるからです。TOEFL100点は、世界中の高校生や大学院を目指す人の共通ゴールといえます。前述のようにTOEFLで100点を取るためには、4技能で満遍なく点を取らなければいけませんが、そのなかでもライティングは、これまでどれだけ読み書きを通じて書く力を養ってきたかが問われるので、長期的なトレーニングが必要となります。

TOEFLで100点を取れば、それでネイティブスピーカーのように、自在に英語が操れるかというと、そうではありません。僕自身もTOEFLで102点を取得してアメリカの大学院に行った時、学年全員が集まる最初の授業では、周りの同級生たちが自分の考えを堂々と言葉にしている姿をみて驚きました。教授が早口で喋ってる間にも、生徒達がどんどん手をあげて質問をしていて、次々に議論が展開していくのです。そんな授業に全くついていけなかった僕は、まるでF1のサーキットに軽自動車で乗り込んだ気分でした。正直、TOEFL100点をとっても授業にもついていけないのかと、大きく落胆しました。

それでも100点あれば、そんなF1サーキットに潜り込めることができるのです。そして、このレベルであればもがきながらも授業についていき、レポートや宿題をこなすことで、英語力を上げながらサバイブしていけます。授業で発言をしたり、ネイティブスピーカーの友達とジョークを交わしたりすることもできるようになります。この辺の本当に生きた英語は現地にいって実際に体験しないと身につけるのは難しいので、とにかくスタートラインに立つこと。そのためには、TOEFLで100点を取ることです。このレベルにさえ行っていれば、海外経験のない子どもでも、その入口に立てます。


日本にいながらTOEFL100点を取るためには
しっかりと4技能を測ることができるし、このレベルになっていればTOP校への留学もできるという意味で、TOEFL100点が日本の子どもたちや大学生が目指すべき英語のレベルだと考えます。そして、このレベルであれば海外に行かずに日本でのみ勉強していても取ることができます。最後にせっかくですので、日本に居ながらにしてTOEFL100点を目指せる長期的な学習法について考えてみたいです。


英語を上達させるための近道は、とにかく英語の本を読むことです。文字をただ目で追うだけでなく、音読すること。これが実はとても大切です。音読することで、音として文が体の中に入ってきます。そうすると、例えば文法でも音を聞いただけで合っているか間違っているかが分かるようになります。この力は、ライティングやスピーキングにおいて、自分で文を作るときに役に立ちます。

音読をすれば耳から音を覚え、発音もよくなり、その結果リスニング力も上がります。そして、何より、物語を読むと、ストーリーをイマジネーションできるという利点があります。音読で作ったイマジネーションをそのまま英語と結びつけて覚える。これこそが英語力の高い帰国子女がやっていることなのです。もし英語圏で生活していれば、会話などのシチュエーションや文脈など、英語と共に付随する情報も自然と入ってくるので、割と容易に英語を体得することができます。これは目の前の状況を、五感を使って理解し、それに言葉を乗せて覚えることができるからです。

一方、従来型の例文を覚えるような日本の勉強法だと、物語と比較して圧倒的に想像力を働かせることが少ないので、英語が自然に頭に入ってきづらい。だから、本を読むことで、主人公が感じたように自分もイマジネーションを働かせて想像することで、その状況を丸ごと体感するように学ぶことが重要なのです。

こうしてインプットしたものを、アウトプットに繋げるのがサマリーライティング(要約文)です。
我々の提供している学習法でも読む、聞く、サマライズするというように、インプットとアウトプットを繰り返すことに重点を置いています。読んだ物語を自分の言葉で要約をすると、インプットした英文がアウトプットを通じて自分のものになります。

書く力は一朝一夕では身に付かない
上記の勉強方法に見たように、早いうちから読むことと書くことを結びつけるトレーニングをしていれば、TOEFL100点は日本にいても到達可能です。TOEFLで100点を取れるレベルの英語力があれば、留学などに行かなくても、大学受験や就職で困ることもないでしょう。英語に対して意識の高い家庭ではTOEFL100点をゴールとして、正しい学習法はどうあるべきかを考えてほしいと思います。


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