世界の安楽死事情【安楽死を遂げるまで】より
本記事執筆時2018.11
安楽死には次の3種類がある
①積極的安楽死:医師に殺してもらう方法。睡眠剤で眠らされたのち、筋弛緩剤を注射され、死に至る
②自殺幇助:医師の補助を受けつつ、最終的には自ら薬を飲み、死ぬ
③消極的安楽死(尊厳死):治療を開始しない、また中止することによって、死に至らせる行為
このうちの③は日本を含めた、
あらゆる国で合法。
スイス
自殺幇助のみ可能
1.スイスの自殺幇助団体「ライフサークル」
ライフサークルの会員患者は、医師の判断次第で自殺幇助を受けることができる。
条件:耐えられない痛み。回復の見込みなし。明確な意思表示。治療の手段がない。
スイス在住者に限らない(外国人も可能)
余命数ヶ月である必要:なし
使用薬:ペントバルビタール・ナトリウム(鎮静麻酔薬)
方法:スイスでは積極的安楽死が認められていないため、自殺幇助を行う。患者自ら点滴に入った薬のストッパーを開かせる(引くと数十秒で死に至る)。
ラーフサークル年会費:5750円
外国人の自殺幇助費:115万円
2.スイス最大の自殺幇助団体「エグジット」
スイス在住者のみ対象
致死薬を患者がコップで飲み干し、死に至る(絶命まで30分かかる)
スイスでは2015年におよそ1000人の自殺幇助が行われた(外国人を含まない)。スイスには、もう1つ大きな団体である、『ディグニタス』もある。スイスでは組織ごとに安楽死条件が曖昧。
オランダ
積極的安楽死・自殺幇助 どちらも可能
1.NVVE(オランダ自発的安楽死協会)
オランダ人のみ対象
条件:患者自身が望んでいること。痛みが耐えがたく回復の見込みがないこと。医師と患者がともに解決策が他にないという結論を出していること。
余命数ヶ月である必要:なし
肉体的痛みに限定しない。
2016年には認知症で141人、精神疾患で60人が安楽死している(癌での安楽死は4137人)。
安楽死が全体の死因の4%を占める。
ベルギー
積極的安楽死のみ可能
(注射による積極的安楽死)
条件:耐えられない痛みがあり、回復の見込みがない
精神患者でも安楽死が可能。条件として「耐えがたい苦痛」「回復の見込みがない」があるが、精神の病気故に基準が曖昧。
外国人OK(ただし黙認されている状態)
年齢制限なし(未成年でも親の同意があれば可)
ベルギーの安楽死数:2015年に2022人(未成年者にも安楽死を実施)このうちの5%が精神疾患
2022人中63人が精神疾患
統合失調症3人
身体表現性障害4人
自閉症5人
解離性同一性障害6人
パーソナリティ障害6人
鬱病19人
認知症20人
アメリカ(オレゴン州)
自殺幇助のみ可能
条件:医師による、余命6か月以内の診断
致死薬が処方される。自らそれを飲む(無論飲まなくてもいい)。医師の立ち合いは必要ない。
日本
安楽死は違法
1.日本で安楽死を患者に行ったために、殺人罪に問われた医師たちを取材
その3名の医師は耐えがたい苦痛に喘ぐ患者(臨死状態)に見かねて即死行為を行ったが、殺人罪に問われた。
2.スイスで安楽死を望む日本の精神障碍者を取材
安楽死を望み、スイスのライフサークル会員になった、30代後半の解離性障害を持つ女性に取材している。
本記事では『安楽死を遂げるまで』で紹介されている世界の安楽死の条件(事情)だけを抽出して書きました。著者は実際にこれらの国々で安楽死をした人の現場に立ち会い、国籍、性別、年齢、病気・障害(精神含)の内容、安楽死に至るまでの経緯と安楽死する時の描写(実際にどれだけ苦しんだか等)を丁寧に書いています。詳細まで知りたい方は、是非本書を購入して読んでみて下さい。