私と旅のやり直し
初めての海外一人旅はシンガポール。それで味をしめ、以前会社の先輩と行ったら振り回されてイマイチ楽しめなかったハワイを、2回目の一人旅でやり直すことにした。
お金持ちなのにケチな先輩だった。それでも地元でごはんを食べに行く時はそれなりに高いお店にも行っていたので、まさかハワイに着いたとたんとにかくお金をかけたくない、チップを払いたくない、ランチや夕食はホテルのラウンジの軽食だけでいいと言い出すなんて思わなかった。私が頼み込んでまともに外食したのはパンケーキだけ。遠出はもってのほかで、無料で乗れるトロリーの範囲を出ることはなかった。
そんなイライラが顔に出た状態でワイキキの通りを歩いていた時、厳しい顔の警官に呼び止められた。何か悪いことでもしたかと緊張していたら「スマ〜ィル」と言ってその警官は急に笑顔になった。今思えば笑えるエピソードだけど、その時はこんな陽気な街なのに暗い表情で歩いていた自分がすごく情けなくて泣きそうになった。
だから1人のハワイは最高だった。行った時期が悪くて初日以外は曇っていたけど、好きなものを好きな時に食べ、行きたい場所に行き、路線バスに乗ってトロリーでしか行けないエリアを飛び出した。チップの文化も自分なりに理解して、いい席に案内してもらえたりいいサービスを受けた時は気持ちよく多めに払い、逆に予約したのにひどい席に案内された時は最低限のチップしか払わなかった。
ホテルでビーチチェアを借りてビーチにも出かけた。その日も曇っていたので海に入ると少し寒かったけど、椰子の木を見上げてぼーっとしているだけで幸せだった。その後ビーチチェアの畳み方が分からず、広げた状態で抱えてホテルに持って帰って来たらホテルのスタッフに爆笑されたこと、こうやるんだよ的に目の前でビーチチェアを畳んで見せたスタッフのドヤ顔も楽しい思い出だ。
言うまでもなくやり直しハワイは大成功で、適正にお金を遣うことは自身の満足に繋がることも実感した。誰かの受け売りだけど、旅先できちんとお金を落とせば、次に行った日本人がいいサービスを受けられる、そしてそれは連鎖していく。お金は天下の回りもの。湯水のように、というわけにはいかないけどね。
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