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超短編小説みたいなもの二編

2021/03/13 22:45
別にこだわりがあるわけではありませんが、字下げはしていない。Web でしかも、横書きでの公開なので、そのほうがいいかなとただ思っただけですよ。

手書き原稿は、横書きの原稿用紙一枚に、シャープペンで書かれていた。前半部分は、実際に私が見た夢が元になっています。それを活用しつつ、話をこしらえてみました。超ショートストーリーの練習作です。

1998/11/19作

『WとM』

「兄が、二年間中国に留学しているので、行けば会える」とWは言った。
彼女本人がここに来ているのに、何を言っているんだと私は、思った。また、えらく上手に日本語をしゃべるなとも思った。

Wは隣の女の子(M)に写真を見せている。私が覗いてみると、わたしと彼女の家族が写っていた。少し恥ずかしかった。

しばらくして、私は彼女の方を見たが、二人の姿はなく、その席は空になっていた。はじめから、空だったのかな。幻だったのかもしれないとも考えた。

三ヶ月して、Wから手紙が来た。
「私、結婚しました。では、さようなら」
「何と短い、くだらない手紙だこと」私は一笑した。
何も言うことはなかったが、思った。
「WとMはグルだな」

天王寺の夜はふけた。通天閣が輝いてはいたが、斎藤かずオの心はただ寒かった。

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これだけでは、あまりにも短いので、もう一つおつけいたします。超超短編の試みです。

1998/11/16作

『憂国の非国民』

青年、大卒にて、国外に一時避ける。労働と仕事の関係。言いたいことはあったようでないようで。その自覚がなければ色々言うこともないわけです。
「それは、単なる立場の問題なのだよ」
「また、失業率が高くなって、不満が充満するようなことにでもなれば、大衆も動くだろう。そうすれば、反動が来るな」
「財政再建もできまい」
「国が破れる」
「流れはすでにあるのです」
「止められない」
「虚しいね、全く」

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後記

書付のたぐいの中から、原稿用紙一枚物の実験作が出てきたので、公開することにしました。別に文芸家を目指していたわけではありませんが、自然に書いて、遊んでいたようです。

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