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【勝利】するとは?自分が挑むべき戦場なのか?

孫子曰:兵者,國之大事,死生之地,存亡之道,不可不察也(察せざるべからず=慎重に検討しなければならない)。
故經之以五事(故に之を経る五事を以ってし),校之以計(之を校ぶるに計を以てして),而索其情(其の情を索む),一曰道,二曰天,三曰地,四曰將,五曰法。

意味「孫子いわく、戦争とは国家の重大事である。国民や国家の生死はもちろん、存亡にも深く関わる行動だということを心得なければならない。5個の要素を考慮して、7個の計算で自分と的を比較し、その実情を正確に把握しなければならない。」

1、自分が挑むべき戦場なのか?

p17『本当に勝ちを積み重ねられるのは、「勝てる戦い」だけを挑む者であることは、歴史が証明している。』(超役「孫子の兵法」 許成準 著)

 私事ですが、今春、とある事業主団体の会長となりました。そんな私が、この文章を読んで、まず思ったのは、『我連合会は、業界で勝つことができるのか?』ということでした。

p19 『そこで孫子の兵法では、勝算を計算する方法として「五事七計」というチェックリストを提示している。これを考慮しなければならない5つの項目と、敵と自分を比較する7つの基準である。』(同上)

私にとって、重要事項であるので、【五事七計】を考察していきたいと思いますが、その前に【勝利】するとは?これをどう捉えるべきか?考えてみたいと思います。

2、戦いを挑むかどうかは慎重であるべき

P19 『「孫子の兵法」は最初に、戦争を始める時には慎重になることを勧めている。本文に書かれているように、戦争には「人の生死、国家の存亡がかかっている」。戦争に慎重ではない人物が指導者になると、彼に従う多くの国民が死に導かれるのは、今日の私達も記憶すべき教訓である。』(同上)

(1)このことに異論を持つ人は多くないと思います。この文章を読んで、私が思ったのは、単純に「戦争に負けたら国が亡びる」=「戦争に勝てば国は滅びない」ということなのか、ということです。

「信長の野望」等のシュミレーションゲームをやっていると、領土拡大をするのは是という考えがちですが、現実はそんなに単純ではなく、勝つか負けるか以上のことを考えるべきだとも言えると思うのです。

p325 『ほとんどすべての文明の歴史が、地理的拡大が質の低下と時間的に一致することを示す実例を提供する』(「歴史の研究」第十章 文明の成長の性質 A・J・トインビー著)

これを現在の企業で考えた場合、【売上向上・市場シェア】の向上が必ずしも勝利ではない、ということを示唆していると思います。

P337 『成長の基準、(中略)挑戦と応戦とが力くらべをする二つの領域の一方から他方へと、しだいに重点がおき変えられ、活動舞台が移動することのうちにあることを暗示する。(同上)
p337 このあとの領域において、挑戦は外部から押し寄せるのでは無くて、内部から発生し、それに打ち勝つ応戦は、外的障害を克服するとか、外敵を征服するという形を取るのではなく、内面的な自己分節もしくは自己決定という形で現われる。(同上)

【昨日の製品・サービス】で【売上・市場シェア】の向上を図ることができたとしても、【昨日の製品・サービス】であればこそ、徐々に【売上・市場シェア】が下がって行かざるを得ません。

そのことは、一時的な【勝利】ではあるかもしれないけど、孫子が言っている【勝利】ではないと思う。

【勝利】とは、自社にとって【明日の製品・サービス】を開発販売し、その製品・サービスの【売上・市場シェア】の向上していくこと、ではないかと思います。

よって、一時的な勝利の連続でしかなく、それがある程度の期間続くと思われても、そこに自社の有能なスタッフを配置する訳にはいかない。

「昨日の製品・サービス」中心から【明日の製品・サービス】への重点の移行の中にこそ、【勝利】があり、【成長】があるはずです。

3、勝てる見込みあれば、どんな状況でも戦争を仕掛けるべきなのか?

p350 『われわれは、相ついで現われる挑戦に対する一連の応戦が成功をおさめる場合、挑戦ー応戦の連続が進行するにつれて、行動の領域が、自然的環境と人間的環境の別を問わず、しだしに外的環境から、成長しつつある個人もしくは文明の内面に移行してゆけば、それを成長の現われと解してよい、と結論する。』(「歴史の研究」第十章 文明の成長の性質 A・J・トインビー著)
個人もしくは文明が成長し、かつ成長し続けるかぎり、外的な勢力によって与えられ、外的な領域における応戦を要求する挑戦を考慮におく必要はしだいに減少してゆき、内的領域において、自らが自らに対して加える挑戦を考慮におく必要があますます増大してゆく。(同上)

自社の【差別化】された【製品・サービス】が生まれて来て、当該【差別化】を掘り下げていく、ので他社からの影響は少なくなる、という捉え方ができるのではないかと思います。

成長は成長する個人もしくは文明が、次第に自らの環境、自らの挑戦者、自らの行動領域になってゆくことを意味する。言いかければ、成長の基準は自己決定の方向への進歩である。(同上)

自社でどのような【基準】を設けて、【製品・サービス】のみならず、組織を作っていくのか、ポイントはそこにあると考えます。

ま と め

今は激動期である為、自社の強みを活かした事業展開が必要です。試行錯誤の過程の中で競合と比べて優れているのか、劣っているのか分からない場合がある。

上記に「どのようなときに戦争をすべきか」か考えてみましたが、結局は戦争って総合力な訳だから、一分野のみで比較することがそもそも不可能だと思う。

これからの時代は、競合と勝負するとしても、会社経営全般の総合力をそなえる必要があるってことです。提携や合併等がどんどんされていくでしょうね。

私が会長となっている連合会では、連合会事態が各組合員をつなげる役割を担うことで次世代に対応していきたいと考えています。


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