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【孫子の兵法】『五事』の『将』『法』に思う

『兵とは国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。故にこれを経る(はかる)に五事(ごじ)を以てし、これを校ぶる(くらぶる)に計を以てして、其の情を索む(もとむ)。一に曰く道、二に曰く天、三に曰く地、四に曰く将、五に曰く法。』

改めて読んで、ふと思ったことは、『将』の能力が優れていれば戦は勝てる、とは書いということです。

』が成果をあげる為には

現代で言えば、経営者が優れていればビジネスは勝てる訳ではなく、別の要素も必要ということです。

頭がよい者がしばしばあきれるほど成果をあげられない。彼らの頭のよさがそのまま成果に結びつくわけではないことを知らない。頭のよさが成果に結びつくのは体系的な作業を通してのみであることを知らない。(中略)それらの資質を結果に結びつけるには、成果をあげるための能力が必要である。(『経営者の条件』より ドラッカー著)

『将』にとって『戦に勝つ』には、現代で言えば『ビジネスで成果をあげる』為には、『体系的な作業』が必要であり、それが『五事』の一つである『法』であり、『成果をあげるための能力』を測る尺度が『五事七計』の『七計』です。

自身の資質を磨くことで『強み』となる

強みを生かす者は仕事と自己実現を両立させる。(中略)貢献に焦点を合わせることによって自らの価値を組織の成果に変える。(『経営者の条件』より ドラッカー著)

貢献』を辞書で調べると、「物事や社会に力を尽くして、よい結果をもたらすこと」とあります。この貢献の積み重ねることにより『』へと昇華すると考えると、『将』で掲げるリーダーの資質が『五徳』という表現になっていることに納得がいくのではないでしょうか。

この『徳』へと昇華する貢献は、あくまでも自分自身の『強み』による貢献でなければ『成果』をもたらすことはできません。

指紋のように自らに固有の強みを発揮しなければ成果をあげることはできない。なすべきは自らがもっていないものではなく、自らがもっているものを使って成果をあげることである。(『非営利組織の経営』より ドラッカー著)

自身の『強み』を理解しているからこそ『徳』へと昇華させることができる、と言えます。『強み』とは、特異分野のことではなく、あくまでも個々人がもっている資質を磨いた成果のことです。

『将』の強み・価値観により必要な『法』は変る!

普段、私達が仕事をしている際に、どうやったら『成果』をあげることができるだろうかと考えることも少ない上に、更に自身の『強み』と『成果』に結びつけている人はかなり少ないのでは。

少し考えてみて下さい。このことを普段から考えて行動している人とそうでない人との違いもさることながら、『強み』と『成果』を結びつけることを考え抜き続けれる人は、更に稀有な存在です。

強み、仕事の仕方、価値観という三つの問題に答えが出さえすれば、得るべきところも明らかになるはずである。(中略)最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむよう用意をした者だけが手にできる。なぜなら、自らの得るべきところを知ることによって、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した仕事を行うようになるからである。(『プロフェッショナルの条件』 ドラッカー著)

三つの円_page-0001

『価値観』『強み』そして『仕事の仕方』の三つの円が重なる部分が卓越することができる箇所です。

個々人の『強み』は千差万別、『価値観』も千差万別であると言えると思います。 『仕事の仕方』については

強みと仕事の仕方が合わないことはあまりない。両者は密接な関係にある。(『プロフェッショナルの条件』ドラッカー著)

とあるので、『強み』と同様と仮定したとしても、千差万別であることには違いない。

三つの円が重なる部分を見つけることは簡単にはできませんが、この探索をやり続けるからこそ到達する『卓越性』、そして『徳分』への昇華があるとすると、大きな要素となるのは間違いないと思われます。

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