窓から見える遠くの

幼稚園生の頃、寝室の窓から見える家々のすき間に、中野駅前の電電公社ビルのアンテナが赤く点滅しているのが見えた。いつも「あの明かりのあるところには、何があるんだろう」と憧れをもって眺めていた。

そういった憧れはいまでも変わらない。見るたびに想像する。何とも言えず胸が高鳴る。平らに続く住宅街の向こうに、ぽつんと見える高層マンションや区役所、清掃工場の煙突。歩道橋から見える、高層ビルの群れ。
あの建物の下では、どんな人が歩き、どんな家が建ち、どんな明かりが灯っているのだろう。

高速道路を走る車や新幹線、窓から家が点々と見える。
ああいうところで生まれ育っていたら、どんな人間になっていたのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?