招き猫
つい先日、豪徳寺に行ってきた。
豪徳寺といえば、招き猫で有名なお寺だ。招き猫は本来「招福猫児」と呼ぶらしい。
小田急線に「豪徳寺駅」という駅があり、そこから歩いて10分ほどの場所にある。アクセスもよく、都会の喧騒を少し離れた静かな場所だ。
駅からお寺までの道のりも、穏やかな住宅街を抜けて行くので気持ちが落ち着く。
お寺に着くと、まずその広さに驚かされた。
都内とは思えないほど大きく、どこかのんびりした空気が流れている。
そして、至る所にいる招き猫たちが目に入る。大小さまざまな猫たちが手を挙げてこちらを見つめているのだ。
特に圧巻なのは、奉納所にびっしり並んだ招き猫たち。
普通、招き猫は一体でも十分に縁起が良さそうなものだが、ここではその数が尋常ではない。数百体とも思える猫たちが、ずらりと並んでいる。
あまりに多すぎて、ちょっとしたホラー感すら漂ってくる。
これだけの数に囲まれると一瞬戸惑ってしまうが、まあ、悪いことは起きないだろう。
むしろ、これでもかというくらいのご利益があるはずだ。
このお寺、どうやら外国人観光客にも人気らしく、境内にはいろんな言語で書かれた絵馬が吊るされていた。
特に目立つのは中文で書かれたもの。どうやら風水の本場・中国でも豪徳寺の招き猫は知られているらしい。
まさか日本のお寺が海外でもこれほど注目されているとは思わなかったが、そう考えると、なんだかこの招き猫たちのありがたさが増してくる気がする。
もちろん、私もここに来たからには招き猫を連れて帰らないわけにはいかない。
なので、お土産として一番手軽な豆サイズの招き猫を購入。ポケットに入れて持ち歩けそうなサイズ感だが、これでもしっかりご利益があるだろう。
お賽銭もちゃんと投げて、豪徳寺を後にした。
さて、翌週の出社日。
朝、いつも通り会社のPCを開くと、「冬季賞与確定」のメールが届いていた。
どうやら招き猫のご利益は、早速あったらしい。豆サイズでも、なかなかの仕事をしてくれる。
豪徳寺のある街の雰囲気も、とても落ち着いていて心地よかった。
また時間を作って訪れたい。
通うたびに豆サイズを購入していつの日か奉納所のように家のリビングを招き猫まみれにするのもいいかもしれない。
ともあれ、また行こう。
私たちは、すでに招かれているのだから。
完
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