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みんな!『三体Ⅱ 黒暗森林』を読んで!

『三体』シリーズをみんなに読んでほしい。おもしれ~。

中国で2008年に出版されたのち、2014年英語版が出版。さらに2019年になり日本語に翻訳されたのだ。三体三部作は中国国内で2100万部を売り上げ、全世界では800万部の売り上げを記録している。日本と規模感が違い過ぎて混乱してしまう。

さらにオバマ前大統領、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグが愛読書として紹介したことでも知名度をあげた。オバマ前大統領に言わせれば宇宙人の侵略に比べれば、議会のやりとりは些細なものに思えたとかで、SF小説がいい息抜きになったらしい。

日本で推薦文を書いていた著名人は多いけどゲーマー的にはやっぱり小島秀夫監督。


普遍性と、娯楽性、そして文学性の、まさに『三体』の重力バランスの絶妙なるラグランジュ点でこそ生まれた、奇跡の『超トンデモSFだ』

と、小島監督節全開の推薦文を寄せている。小島秀夫監督は『メタルギア・ソリッド』シリーズによって一部のSF作家へ多大な影響を与えた人物、といって過言ではないはずだ。とくに伊藤計劃とピーター・トライアスの2人。もちろんほかにも作家はいるだろうが、この二人は小島監督の熱烈なファンであることを度々公言している。『虐殺器官』『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』からも『メタルギアソリッド』シリーズからの影響を感じられると思う。ほぼ同時期に出てきた『虐殺器官』と『MGS4』の未来像が似ているのも面白い!(『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』は積読しているので分からない)

閑話休題。小島監督も褒めている三体第一部、あらすじというか冒頭は以下の通り。

物語は文化革命の時代から始まる。革命の動乱で父親を殺された女子大生葉文潔(ようぶんけつ/)は、内モンゴルで義勇軍として強制労働に近いかたちで開拓を行っていた。そこで出会ったのが、カーソンの名著「沈黙の春」。しかしこの本を彼女に紹介した記者により彼女は密告を受け、投獄される。人類に絶望した物理学博士である葉文潔へ、ある提案がなされる。極秘基地である「紅岸基地」で働くというのだ。
それから数十年後、ナノマテリアル開発者の汪淼(おうびょう/)は物理学者が連続して自殺する事件を捜査する。中国軍に呼び出されれた彼は、科学フロンティアなる組織へ潜入しこの謎を解き明かさなければいけない。汪淼は科学フロンティアを調べる中で謎のVRゲーム「三体」と出会うのだった。


葉文潔を主人公にした文化大革命の凄惨を極める紅岸編、、現代で展開されるSFサスペンス×バディもの、VRゲーム「三体」の世界。「科学フロンティア」と連続する科学者の自殺を調べるミステリーは、常に興味が尽きない王道のエンタメとして読めてしまう。文化大革命で葉文潔が経験する圧倒的な人間存在への絶望が、その時代の空気感とともにを生々しく描写されている。個人的にはVRゲーム「三体」で、数千万人の人的資源を投入した「人間手旗計算機」が稼働するシーンが最高だ。


そして第二部『三体Ⅱ 黒暗森林』は前作のラストで垣間見せたトンデモSF的な要素の本領が発揮される。前作よりはるかにスケールアップして、物語の舞台は太陽系全体へ。人類は三体文明との衝突に備えるため、面壁計画を発動する。面壁計画では、4人の面壁者に莫大な予算が与えられ、それに対する一切の説明責任が免除される。(十一次元の陽子を二次元へ展開し、強い相互作用を利用した集積回路で動く智子(ソフォン)によって、地球上の情報はすべて監視されているのだ。)本意でなく面壁者に選ばれてしまった羅輯が、地球と三体文明を左右することになる。

また三体2では、三体艦隊の先遣隊と三大艦隊(アジア、ヨーロッパ、アメリカ)が遂に接触。葉文潔が羅輯へ伝授した宇宙社会学の公理 その一、生存は、文明の第一欲求である。その二、文明はたえず成長し拡張するが、宇宙における物質の総量はつねに一定である。ここから導かれる究極のディストピア的世界観「黒暗森林」も本作の肝。フェルミのパラドックスへのかなり嫌な部類にはいる一つの答えだ。愛しか勝たん。

智子(ソフォン)はマシーナリーとも子を連想する。いずれにせよ『三体』シリーズはめちゃくちゃ面白い。みんなも読んでね。

自分は「沈黙の春」「折りたたみ北京」「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」あたりを読もうかな。



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