3月29日北海道旅行2日目

今日は小樽に行ってきた。義理の父母と義理の妹はクルーズをしたかったようで、事前予約をしていたが、天候が荒れており、中止となったことを現地で知った。これでプランはご破算となり、適当に街を歩いたりする。美術館がたくさんあるとのことで、似鳥美術館というところが黒田清輝とかレオナール藤田とか色々とあって面白そうだったが子どもたちはつまらないだろうという判断からステンドグラスの美術館に行く。ここにはたくさんのキリスト教にまつわるステンドグラスがあった。横で見ていた子供が「キリストってなんで殺されたの?」と親に聞いていて、あー、こりゃ僕もちゃんと答えられないなあ、と思っていると、その親も答えられなかった。

お昼は有名な回転寿司屋に行った。美味しかったけど、感動するほどに記憶に残るかと言えばそこまでではなく。

寿司屋で自分が美味しいなあと思ったのはどこだっけなあ、と小樽で寿司を食べながら考えていると、思い立ったのが、父が単身赴任で金沢に行っていたのだが、僕が卒業旅行で一人で金沢に行ったとき食べさせてもらった、蛇の目鮨というところの寿司だった。大衆的な寿司屋だったが、金沢の新鮮なネタを使っていたのだろう、とても美味しかった。その時、父とは3日くらい一緒に過ごした。確か福井駅を散策し、その後富山の雨晴海岸まで行ったのだが、曇で何も見えずにがっかりして、その後金沢に移動し、夕方、父の仕事が終わるのを香林坊のデパートで待ち合わせて、夕飯を寿司屋で食べた。次の日は二人で能登の方にドライブへ行った。その途中で海辺を走ったりした。確か釣りをして帰ってきた。僕は釣りなんか好きではないのだから、僕が釣りをしたい、と入っていないと思う。翌日は福井に行ったのだろうか、詳しくは覚えていないが、とにかく父と車の中でずっと話していたことは覚えている。何故か家にはマッシブ・アタックのメザニーンがあった。父は現行の音楽を聞くような人間ではなく、恐らくは視聴をして買ったのだ。重たい雰囲気のこの音楽を。何かのはずみで、父が母に送ったショートメールを見てしまったことがある。「なんで俺はこんなところにいるんだろう」というものだ。単身赴任中に母に送っていたもの。そんなメールを送った父がメザニーンを一人で、もしかしたら、とても寒い金沢の夜に聞いていた。その風景を想像すると、胸がとてつもなく苦しくなる。僕が卒業旅行に行ったのはちょうど20年前。父は53歳。

寿司屋のあとは、小樽水族館に行った。古い作りだが、展示は工夫してあり面白かった。何より、ショーがシームレスに展開されるタイムスケジュールで組まれていて、イルカショーから触れ合い、オットセイ、アザラシ、ペンギン、トド、という色んな動物たちが見られたのがとても良かった。ペンギンショーは指示を聞かないペンギンたちを見るという、脱力的なもので、それが見事だった。BGMがエヴァンゲリオンのペンペンが出てくるし~んに流れる曲、という凝りっぷりも楽しかった。圧巻はトドで、眼の前で暴れまくる巨大な生命体を前に、僕は改めて生物としての自分の弱さを覚え、打ち震えた。確実にこの生物の前では自分は無力であっという間に、瞬時に、逃げる余地もなく、あっけなく殺されるのだろう、と感じた。

夕飯は札幌ビール園でジンギスカンを食べた。

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