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質問の品格、返答の品格

自分の中で、質問の質や質問力について時々考えることがあります。
半年ほど前の先日の宇宙飛行士決定の記者会見でのやりとりに関する記事を見つけて、改めて感じたことを少し書かせていただきます、

【記者会見でのやり取り】

以下のリンク先記事からの抜粋になります。

家族構成やパートナー・子どもの有無などについての質問に対し、米田さんは「家族に関すること、パートナーの有無に関することは、すいません。大変申し訳ないですけれども、プライベートのことで回答するのは差し控えさせて頂きたいと考えております」と毅然とした態度で答えた。
また、同じ記者による「若い女性という観点から、宇宙開発の事業にどんな貢献ができるか」という質問には、「私自身は特に若い女性であるという特性に対して、それを押し出して、と言いますか、それを意識してっていうのではなく、一宇宙飛行士候補生として頑張っていければな、と考えています」と返答した。

リンク先からは記者会見のYoutubeへのリンクがあり、その中で該当する質問の部分を視聴したところ、質問の意図としては、諏訪さん米田さんの2人に向けたもので、”人となりを知るためにプライベートな部分もお聞きしたい”との枕詞で、趣味なども含めた一連の質問の中に家族構成などの質問が入っていたものでした。
一方で「若い女性」という枕詞の質問は、もちろん米田さんに向けてのものです。

【質問として適切か?】

家族構成やパートナーの質問は、諏訪さんに関して言うならば、ご家族との映像もニュースなどで流れていましたので問題ないですし、あえて質問しないと思うので、2人への質問という形をとって米田さんへの質問だったのではないかと。
そう考えると、米田さんに関して、ゴシップ的な観点での質問となっていると思われます。
そういうゴシップ的質問は、あの場には必要ないんじゃないかな、と思いました。
また、「若い女性として」という前置きの質問、確かにまだ日本の中ではそういう目で見られる背景があるのは事実で、記者の立場としては「それを代弁して」という意識があったのかもしれません。
ただ、こちらもどんな回答を期待しているのかわからない、残念な質問であったと思います。

やはり、こういう場で求められる質問というのは、「いい質問」だと思いますし、言い換えると「本質を突いた、良い回答を引き出す質問」であると思います。

たとえば最初の質問も、「大切な人がどんな人か」に焦点を当てるのではなく、
「決まった時にどんな反応であったか」
「決まるまでの過程でどんなふうに支えてもらったか」
という切り口であれば、エピソードを含めて人となりがわかる回答がもらえたのではないかと。
2つ目の質問も、
「自分のどういった点を生かして、どのように宇宙開発に貢献したいか?」
という切り口であれば、米田さん1人への質問ではなく2人から人となりの分かる回答が引き出せたのではないかと。
それができなかった、今回の記者の方は、自身の株を下げる結果になったことは間違いないですよね。
「質問の品格」がその人の評価につながるという例だったのかな、と。

【米田さんの回答力】

一方で、臆することも、迷いを感じるそぶりもなく、非常に適切な形で返答をされた米田さん。
宇宙飛行士に選ばれたというだけでなく、一段と株を上げる結果になりましたね。
宇宙兄弟のマンガでの知識しか持ち合わせていないのですが、瞬時に適切な判断ができる能力は高いレベルのものが求められている筈で、その能力を垣間見ることができたのかな、と思いました。
結果的に、質問の品格と返答の品格の差が顕著に現れてしまったと言えるのかもしれません。
私も、どちらの品格も身につけたいな〜、と。


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