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31.コバノミツバツツジの秋

 来年3月の開花に向けて、季節外れや、過去の話ばかり書いていますが、今回は2024年10月6日現在の、ほぼ毎日登っている天山あまやま沿いの、コバノミツバツツジを記します。

 コバノミツバツツジは、昆虫に食べられたり、何かの事情がない限り、三輪生の三つ葉です。

網目が綺麗 学名(R. reticuratum)はラテン語の網目
葉の裏の主脈の周りは毛深いです

 コバノミツバツツジの葉は、3~4cmほどで、大きくても6cmぐらいです。

山路で一番大きかった葉

 葉の形は側面が丸い菱形です。葉が茂りすぎると、日陰になりやすい内側の1枚の葉は、他の2枚の葉より小さくなる傾向にあります。

内側の葉が小さい

 さらに日陰で日当たりが悪い枝では、内側の葉が早々に落ちたり、展開しない場合もありますね。

内側の葉が自然に落ちた または展開しない

 コバノミツバツツジは、10月ぐらいから少し紅葉を始めます。日焼けしすぎた葉は黒ずんで10月中に散りますが、林の中の葉は緑のままで12月ぐらいまで頑張ります。

春葉はるばが紅葉したコバノミツバツツジ
先の夏葉なつばはまだ緑色のまま

 10月には、コバノミツバツツジの1cmほどの蒴果さくかが、熟し始めます。花の子房と同様に、蒴果さくかの周りには、毛が多いです。

コバノミツバツツジの蒴果さくか
12月には熟してもう少し細長くなります

 種をつけるためには、かなりの栄養が必要ですから、花が多くても、実の蒴果さくかはより少なくなります。毎年枝を伸ばすので、その先に並んで蒴果さくかがつく場合は、種をつくる栄養がうまくいきわたっているようです。

蒴果さくかが並んでいる 左の蒴果さくかはもうすぐ縦に割けて種が飛び散る

 コバノミツバツツジは、夏から、冬芽につながる枝と夏葉なつばを伸ばします。夏葉なつばは、三輪生の三つ葉ではなく、互生や螺旋らせん状につく小さな葉で、落葉樹とは言え冬を越す葉ですが、3月の開花時には落葉します。ヤマツツジの夏葉なつばは、春葉はるばと同じ大きさで冬を越して目立ち、開花時にも残っているので、半落葉樹だといわれています。中間的な葉の散り方があるので、常緑、落葉の区別は、曖昧と言えますね。

今年伸びた5本のシュート 下は春葉はるばの三つ葉だが、上は夏葉なつば

 日当たりがよい場所では、当年咲いた花の枝から分かれて、5,6の枝と葉が伸びます。1年で伸びる枝とそこに展開する葉や花とを含めて、シュートといいます。日当たりがよくないと、シュートが1本だけや、出ない場合があります。

日照条件が良い場所での2段階のシュート

 山路沿いの、株立ちになっていない単幹の、著者の身長と同じ170cmのコバノミツバツツジにメジャーを当てて、毎年伸びてきたシュートの数を測ると、8でした。発芽後の最初の2年はほとんど伸びないので、多分10年ぐらいの個体です。

少しの時間しか直射日光が当たらないコバノミツバツツジは光を求めて上に延びる
一番長いシュートは25cm

 山路沿いで、最も長いシュートを測ると、62cmもありました。これらの個体は、木々に囲まれており、横に広がるよりも、光を求めて上に上にと伸びている個体です。

62cmもある数年前に形成されたシュート
形成された年より後にも、太さの横とともに縦にも伸びたと思われる

 さらに日照条件が悪い場所では、上に伸びずに、地面を匍匐ほふくして、小さな葉を地面に展開している株があります。発芽した苗が多いと思って掘ってみても、匍匐枝ほふくしでつながっています。上を覆っている木が倒れるなどして、日照条件が良くなったときに、株として一斉に萌芽できるように、準備しています。

匍匐枝ほふくし

 1,2年目の苗は、春葉はるば夏葉なつばとは、区別がつきにくいですね。葉が小さく、そのまま冬を越して、より大きな葉が出たときに、下の葉が落ちているようです。

1,2年目の苗

 日々山路を整備しながら、眺望を楽しみ、植物を観察しながら、季節の移ろいを感じて、花崗岩の標高303m天山あまやまに登っています。

天山登山路から住宅地と名神高速道路を望む


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