6.映えるツツジの写真を撮ろう
第1話でもさわりを述べましたが、コバノミツバツツジに代表されるミツバツツジ類は、他の花木と異なって、多彩な撮影ができます。花のアップ、一輪の花と水滴、逆光、昆虫を活かす、少し暴れてまちまちを向く数輪の花、枝の下から葉がない降り注ぐような花やそのサニークロス、野趣あふれる株の面白い形、群生する山や庭など、撮り方の変化が大きいです。
野生ツツジの人気者は、ミツバツツジ類やヤマツツジよりも希少価値がある、アカヤシオ/アケボノツツジ、シロヤシオ、シャクナゲ、ミヤマキリシマです。登山者は、これらのツツジが「咲いてますか」と、下山者とのすれ違いの挨拶に聞いてきます。くやしいけれども登り路で「ミツバツツジ咲いてますか」と聞くのは、著者ぐらいです。でも、他のツツジもお目当てにした、山歩きが楽しめます。
アカヤシオ/アケボノツツジは、背が高く、どうしても下から仰ぎ見るか、何とか斜面の上から見下ろして撮ります。葉が展開する前に開くので、青空に映えて綺麗です。シロヤシオは、愛子さまの家紋、葉と一緒に咲きます。
シャクナゲは、複数の花がくす玉のように広がり、花の女王様です。でも常緑なので、濃い緑の葉の中で、花が浮き立つように撮るしかないです。
九州の火山に咲くミヤマキリシマは、一面を覆い尽くす人気モノなので、山全体を撮るのが定番です。サツキを含め、玉物や大きく刈り込んだ園芸ツツジも、同様に庭一面を撮るのが定番です。
これらの撮影のアングルをまとめると、次表のようになります。圧倒的にミツバツツジ類の撮り方が変化に富んでいます。また、山に行かなくても、里地や自然を活かした公園に、ミツバツツジ類は咲いています。
コバノミツバツツジを含むミツバツツジ類は、一輪のアップから群生まで、そして、晴天から雨天まで、多種多様の映える撮影ができます。コバノミツバツツジは落葉樹で、他の多くのツツジに先駆けて3月末から花が葉よりも先に展開して咲き、落葉樹の多くの緑が少ない中では、とても花が目立ちます。
落花寸前のアップです。コバノミツバツツジの特徴は、このフサフサとした白く長い子房の毛です。
珠玉の水滴が、しべや花びらを飾ります。
花びらが薄く、陽が当たると花脈が透き通って見えます。
野趣豊かで暴れる枝先の花があり、背景をぼかしてチョウと一輪をフレームにおさめられます。ツツジは、アゲハやクマバチなど、蜜を吸う口の長い昆虫を引き寄せます。
落花しても、リズミカルに、様々な方向を雌しべが向きます。
「門かぶり ツツジの庭に 招かれて」 金福寺は芭蕉や蕪村ゆかりの寺です。一句詠みたくなります。門かぶりを潜ると、ヘッダー写真の白川砂のコバノミツバツツジの庭に入れます。
楽しい遊び場にそっとツツジを添える、まさしく添景です。
株の中から上に咲く花を撮ると、枝の中に花が降ってくるような写真も撮れます。
太陽に向けて、レンズの絞りを絞り込むと、サニークロスが撮れます。最近のスマホでは、設定しなくても撮れることがあります。
全山や庭全体の群生は、見事です。
撮り方をまとめると、次のようになります。