小さな犬と大きな猫のワルツ1
「気がついたんですけど」
「何に気がついたのよ」
「いや、俺、やっぱり恋人にかっこいいって思われたいなって」
「ごめん、巣鴨。ちょっと印刷したやつ持ってきてくれない?」
「あ、はい」
部署の先輩である佐藤美奈子に指示されるがままに、巣鴨は複合機に向かう。印刷が終わったA4の紙を彼女に手渡すと、やっぱり印刷すると粗が見えてくるわね、と難しい顔をする彼女に、フォントが詰まってるように見えますよね、と巣鴨が指摘する。やっぱりそう思うか、と唸った美奈子はパソコンに首ったけになる。