見出し画像

欠けている(6月1日)


6月に入りました。

とある映画のワンシーン。
「欠けたまま大人になりきれないと感じる」
と言う人に対して、
「欠けているんじゃなく、まだ満ちている途中」
と言葉を返したシーンが、
印象的だったと俳優さんが話していました。

「欠ける」「満ちる」
私の脳内に出てきがちだと思うからこそ、一つのテーマにもなっています。
ネガティブに聞こえやすい言葉を、一つの台詞が救ってくれるのだから、想像力・言語化が素敵な人に、私は惹かれていきます。

先日、「殺しの春」のMVを作ろうと思いました。
数日置いて、監督に作りたいと連絡をしました。
あれほど、作らない。と決めていたし、公言していたのに、心は不器用なもので、(器用とも衝動とも欲求ともいう)
周りからの評判の良さと、評価と、この曲の持つ力に賭けてみようかなと思いました。

楽曲は、作り手の生き霊が潜んでいて、
聴いてくれる人の欠けた部分を、満たしていくものだと思っています。
映像作品を作ることによって、より広まってもらわないと困るので、考えることは沢山です。

新曲も出します。誰かの求めている事と、私が満足することを詰め込んで、心が満ちるような曲になれば良いと思っています。

関東も間もなく梅雨。
歌詞を書いていると、じめじめするこの場所が、きらきらしないものかと、アンテナを張ります。
そこで気づいたこと。梅雨にまつわる美しい言葉が揃っています。

「薄月夜 花くちなしの 匂いけり」

正岡子規

「雨雲が多く月も薄れてしまう夜に、ふと梔子の花の香りを感じた」

という意味です。花の姿ではなく、匂いに季節を感じたところに情緒が増します。

この「情緒」を感じ取れたときこそ、満ちる過程を辿っている気がする。

(ここまで読んでくれて、ありがとう)

おしまい

みむら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?