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「組織を芯からアジャイルにする」第2章〜第3章で心に残ったフレーズ 〜なぜアジャイルなのか・何を学んだのか〜

 心に残ったフレーズは何で、なぜ心に残ったのか。今回は「組織を芯からアジャイルにする」第2章と第3章が対象です。お題はこちら。

第2章 日本の組織を縛り続けるもの

顧客とともに問うべき内容は何か

「アジャイルとは何か」ではなく、
「なぜアジャイルなのか」
「アジャイルで何を解決するのか」

「組織を芯からアジャイルにする」第2章

 アジャイルでやる理由、やりたい理由としてよく聞くことばがあります。
「作るべきものがまだ決まっていない。だからアジャイルでやる」
 文法に誤りはなく、そうだよねと同意してしまいそうです。しかし、このことばの話し手と聞き手それぞれの思いが異なっていると、食い違った解釈のまま【アジャイルな取り組み】は進んでいきます。そして終盤になって、こんなはずではなかったと、お互いに気づくのです。

 例えば、以下のような食い違いに出会うことがあります。

■話し手の思い
・期日は厳守

作るべきものがまだ決まっていない

(決まっていないから期日までの計画を
予め立てられない)

(途中で決めながら短い期間で
作って期日を守りたい)

(アジャイルは、仕様を変え続けても
短い期間で対応できるはず)

だからアジャイルでやる

■聞き手の思い
・ユーザにとって価値あるものを作りたい

作るべきものがまだ決まっていない

(何を作るとユーザに価値を
届けられるのか分からない)

(価値あるものを作れているか
検証できるように作っていきたい)

(アジャイルは、経験して学びながら
価値あるものに近づけていける)

だからアジャイルでやる

 一方は誤解を含む思い込みと願望。『まだ定まっていないから、とりあえず作っていって、途中で調整しながらやっていけばよい。なぜならば「途中で仕様や作るものを変えられるから」。そしてアジャイルでやれば「短い期間で作れるから」』
 他方、なぜアジャイルかを念頭に置いていても内に秘めた思いに留まる。『まだ定まっていないことを定めるためには、探索して適応して…を繰り返す進め方が良い。それにはアジャイルが適している。だからアジャイルでやるとよい』

 どちらかだけが正解というゼロイチではないことも、食い違いがあることを気づきにくくしたり、意識合わせを難しくしたりすることを助長します。だからこそ、アジャイルとはどういうことで、なぜアジャイルなのか、なぜアジャイルでやると良いと考えるのかを、丁寧に合わせていくことが、取り組みの最初の時期において大切なのだと思います。

第3章 自分の手元からアジャイルにする

スプリントレビューは進捗確認の場ではない。
「何ができたのか」以上に
「何を学んだのか」に向き合えるよう
アジェンダとして問いを設けておきたい。

「組織を芯からアジャイルにする」第3章

 顧客や評価者の目を気にして、できたこと(成果)に必要以上の意識を向けてしまうと「何ができたのか」という視点で状況を捉え始めてしまいます。上記に引用した内容を一歩引くて眺めると「何を学んだのかを、なぜ問いとして設けておくのか」という問いが浮かんできます。これまでのやり方を踏襲していては立ち行かなくなってきた組織が何かを成し遂げるには、新たな経験から学ぶ姿勢が必要になると私は捉えています。この点も組織の中で最初に合わせるようにしたいと思います。
 仮に、なにかの事情で最初に合わせることがでなかったとしても、スプリントレビューが何の場だったのかを見つめ直せるように、レトロスペクティブの場を設けることを必須としておきたいとも思います。レトロスペクティブがあれば、そもそもの意識ずれや認識不足、勘違いや思い込みに気づくチャンスを作れるからです。そして、レトロスペクティブは反省会ではなく、何を学んだのか、得られた気づきは何か、そういったものを共有し合える場であるということ。これも最初に合わせておきたいと思います。

探索においてチームに期待するのは、
相反する仮説さえもあがってくるような
バラエティである。

「組織を芯からアジャイルにする」第3章

 確実ではないことに取り組む場面において、誰かが言うことが正解であると即時に判断できるケースは稀です。だからこそ、声が大きい、発言の頻度が高い、眼力が強い…そのようなことに惑わされず、メンバーそれぞれからの仮説を拾えるような場は貴重です。
 そして、相反する仮説をあげたり受け止めたりできる組織にするためには、自然体の自分で振る舞える環境や、自分ごととして関わる姿勢などが重要担ってくるのだと思います。この点については、改めて別の場で触れる機会があればと思います。

「組織を芯からアジャイルにする」を手にして学びと共に

 書籍「組織を芯からアジャイルにする」には、組織をテーマにしたタフクエスチョンが散りばめられています。どういうことなのか、どうすれば良いのか、と自ら問いかけても答えが出てこないものもあるかもしれません。たとえ答えが出なくても、「何を学んだのか」と自らをふりかえるきっかけになると私は思います。

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