MCUスパイダーマン作品の履修日記5/5 ファーフロムホーム

過去作品をひとつも観ていなかったけど勢いでスパイダーマン・ノーウェイホームを観たら普通に楽しかったのでMCUのオタクとSpacesで喋っていたら、MCUスパイダーマンの時系列順に観るのがよさそうとなり、シビル・ウォー→ホームカミング→インフィニティー・ウォー→エンドゲーム→ファーフロムホームの順番で観ることにしました。

今回はいよいよファーフロムホームを観て、トムホMCUを納めました。観たのは1月末でしたが2月も終わりそうな今になって書いていきます。
前回の履修日記は以下です。

エンダアアアアアアアア

MCUスパイダーマンを観たいならインフィニティ・ウォーとエンドゲームを先に観ろと言ってくれたみんな、ありがとう。最初からめちゃくちゃ良かったです! そして、アメリカ人もやっぱりこれ好きだし、ベタだと思っているんだねとなりました(ボディガードはそもそもハリウッド映画だしそりゃそうか)。

何も知らずにホームカミングの次にこれを観ていたら単なるギャグになった可能性があります。

MJとピーターの等身大の恋

急に恋愛論みたいな話になるんですが、恋愛って急ですよね。あれ、なんかこの人のこと好きかも?よくない?って気づいた瞬間から恋しちゃう的なことってあると思うんですが、2人がそんな感じだったのでほくほくしてしまいました。
映画なのでもっとドラマティックにどのように恋に落ちるかを描いてるのかと思ったら最初から「MJ好きかも」ってトムホが言うし、ゼンデイヤもなんか「ピーターいいかも」って顔してるの良すぎるし、ノーウェイホームのラストを考えると「あーーーーーーーー」ってなりました。

恋。とくに若い時の恋は無責任なものだし、衝動でも全然いいし。だからこそ、ホームカミング時には違う子を追いかけていてゼンデイヤのことは単なるクラスメイトとしか感じていなかったのに、ファーフロムホームの冒頭から好きかも!って言ってるピーターにリアルを感じてしまいました。

(それで今は本当に付き合っているらしいトムホとゼンデイヤなんなの?SUKI!)

「Come on, Peter Tingle」かっこよすぎ

スパイダーマンに限らず、MCU作品は「テンションが確実に上がるシーン」というのにとても力を入れていると思っています。明け透けな言い方をすれば、金を出して観に来た客を納得させるための企業努力を感じて、勉強になります。

なぜMCU作品は面白く、愛されているのか?
それは、観客を喜ばせることを第一に作られているからだと、6作品くらい観て感じました。

ファーフロムホームにおける客を分からせるシーンはまさに、ミステリオとの闘いでPeter Tingleを研ぎ澄ませるシーンでした。

ファーフロムホーム序盤からピーターの「ムズムズ」を「Peter Tingle」と周りの人たちが呼んでいましたが、自身が追い込まれたタイミングで「Come on, Peter Tingle」と自ら呟いてからのシーンが息をのむほどかっこよかった。
何より、あのピーターが。何をするにもやたらリアクションがでかい子供じみたピーターが集中から無言でスクリーンを縦横無尽に駆け回り、カメラワークも徹底してピーターの無重力のスパイダーアクションを表現するシーン。
あ~これがMCUなんだな~となりました。

ところで、字幕は「ムズムズ来い!」みたいなことが書いてあったけど、あんまりかっこよくない気がします。ムズムズってどうなんですか?

スパイダーマンのヴィランと悪のかたち

ファーフロムホームまでと、先に観たノーウェイホームを鑑みると、ピーターは大人の事情に振り回される子供だったと言えます。
子供ゆえに、ピーター自身は大人から身勝手な迷惑を被ることはあっても、直接悪意を向けられることはありませんでした。

ホームカミングの敵も、ファーフロムホームの敵も、その悪意はどちらかというと自身の能力を認めない社会に向いていて、そのときたまたま立ちはだかったのがピーターだったというだけです。

ホームカミングでは仕事を奪われた恨みから悪の存在となったヴァルチャーが片思いの相手の父親だったという因縁につながり、ファーフロムホームではスタークに評価されなかった男が自身の能力を誇示したいという歪んだ感情からピーターを利用することで悲願を達成しようとしました。

彼らは恨みや妬みからの闇堕ちしたのだと捉えると、純然たる悪というわけでもなく、かといってなにかの犠牲者とも言い難い存在です。
仕事で失敗したり、うまくいかないことは誰しも起こりうることですが、そうしたことをきっかけに前向きな努力に転じることも、そのまま腐ってしまうことも、その人の考え方によります。もちろん、当人の努力だけではどうにもならないこともあるでしょう。
それでも、時間がかかってしまっても失敗をかてに前に進むことの大切さを提示しているのだと感じました。

人間の醜い感情や大人の汚い部分を無遠慮に向けられながら、ピーター自身は「まだヒーローではない自分」と向き合い、常に今の自分ができることを失敗しながらもやりつづけて、最終的にはピーターがスパイダーマンというヒーローに至り、正体不明の謎の孤独なヒーローとして恋人や親友と決別する決心をする様子がとてつもなくかっこよく描かれていました。

3作かけて(プラスアルファ、アベンジャーズ作品もふくめて)、ヒーローとは言い切れなかったピーターがヒーローになっていく姿を描くMCUスパイダーマンと、主役のトム・ホランドの相性の良さが奇跡のようでした。マーベルが提示しようとしたメッセージを、役者の個性・背景を重ねることで説得力を持たせる手法が素晴らしすぎます。マーベルスタジオはすごい。

またノーウェイホーム観たくなっちゃったな。


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