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他業種のOLがXRKaigiで感じたもの。

1.はじめに

わたしは東雲めぐちゃんのファン“めぐるーまー”であり、めっちゃばぶ美のファン“おぎゃ太郎”でもあります。いわゆるVtuberのファンであり、ふだんはxRとまったく関係ない業界にいますが、12/3、4で開催されていたXRKaigiに行ってきたので、感じたままを書こうかと思います。
約1週間も前の出来事であり、ただの感想なので深い示唆もありませんが、感じるものが多かったのでnoteにしてみました。

2.VtuberのファンがxRに興味を持ったきっかけ

東雲めぐちゃんがエクシヴィのAnicastを採用しているVtuberだったことから、GOROmanさんという存在を知り、そのバックグラウンドの技術や広くxRについて興味を持つようになりました。
それ以前はとくにVRに興味を持っていない、お城とSFとサッカーが好きなだけのOLでしたが、東雲めぐちゃんに出会ったことをきっかけにしてGOROmanさんの『ミライの作り方』を読み、VRって面白い!と思うようになりました。元からSF小説が好きだったことは、多少xRにハマりやすい素養があったと思います。初日にあったビジョナリートークでも出てくる話題ですが、xR技術のコンテキストに心当たりがありすぎるからです。
恥ずかしながら、はじめはVtuberたちに対してティプトリーの小説みたいな展開を妄想していました。(この話は本題ではないのでここではしません。)

3.他業種OLがXRKaigi参加するまで

わたしは日頃、広告制作をしている会社でwebコンテンツ制作の編集者として働いています。
仕事上ではまったくもってxRに関連する業務はないですし、エンジニアやデザイナーでもないので技術的な面からいっても「あんまり仕事には関係ないなあ」と思いつつも面白そうだという理由で、たまにxR関係の展示会などに遊びに行っていましたが、XRKaigiが発表された時には「さすがに平日だしそこそこ高いしどうしよう」と思いました。

それでもずっと、「どうしようかなあ、面白そうだなあ」と頭の片隅から離れず、「悩むくらいならチケットを買えよ」と私のゴーストが囁いたので早割チケットの申し込み期限日に懇親会込みのチケットを買いました。
他業種とはいえコンテンツを制作しているというところにヒントだったり、為になるものはあるはずだし。何にでも学びはあるのだしね。

4.頭のネジ 外し方

わたしが感じるxR界隈の好きなところに「ナチュラルに狂っている」という一面があります。断っておくと、これは完全に褒め言葉ですが、至極真っ当だし凄いことをしていて、でもそれがクレイジーだということです。逆説的に何かが狂っているから面白いのだと、いつも思います。
初日に行われた基調講演トークセッションの3人、Nianticの川島さん、エクシヴィのGOROmanさん、エンハンスの水口さんは、まさに狂っているトップ3みたいな感じで非常に面白かったです。
とくに最後の方出てきた話題で「頭のネジを外せ」という話題があり、哲学を感じました。

川島さんが開発中に実際起きた笑えるエピソード(逮捕寸前)を紹介し「頭のネジが外れたくらいで面白いもの作れると思う(超訳)」というようなことを言い、まったくその通りだなあなどと思ったらGOROmanさんが「そもそもネジが外れた状態で生まれてきたから外し方がわからない。ネジって外せるものなんですか?」と続けました。

わたしはここに、人生の教訓めいた哲学を感じました。
ネジが外れている方がおもしろいけど、ネジの外す方法はググっても出てこないのかも。

5.OLが感じたxRの概念

2日目は、10時から19時まで5会場くらい同時にセッションが行われます。各セッションはどれも魅力的で、正直いって直前まで迷うこともありました。
変な話、どのセッションを聞いても聞かなくても、仕事になんら関係ないので「興味本位で行っちゃえばいいじゃん」とある種の割り切りができました。(それは他業種の強みかも?)

わたしは本当に心の底から英語が苦手なので、Oculusのアプリ審査の話とか、Beat Saberの開発の話など。おもしろいのですが、同時通訳を飲み込もうとするだけで脳みそがパンクしかけました。
それでもせっかく来たので目一杯楽しみたい一心で、キーボードをぱちぱち打ってEvernoteに感じたままを書き込んでいました。気を遣ってはいましたが、日頃は割と強打者なので、うるさかったらごめんなさい。許して。

xRの技術は人体や脳をハックする話題が多いので、話題が多岐にわたります。HMDをかぶって体験するゲームもxRだし、味覚を制御することもxRだし、美少女になることもxR。
人間が感じられるあらゆるものに関する技術やマインドを包括する概念といえば、一般に理解されやすいのかも。

6.アーティストが未来を作る

2日めの最初に行ったセッション「フォトグラメトリが切り開くxR時代の3D表現」でした。
STYLYのDiscontさんが発表してきたフォトグラメトリ作品や、フォトグラメトリに関する表現の可能性について語る内容が語られ、私が初めて体験したフォトグラメトリ作品の「銭洗弁天VR」についても言及されており、現実世界を切り取ることによる“エモ”をフックにした作品が多くありました。
銭洗弁天VRもそうですが「受け手の日常とどこか遠くで繋がっているはずの、誰かの日常を感じられること」がフォトグラメトリ作品を見たときに沸き立つ感情の理由だと個人的に思っています。

中でも「テクノロジーの使い道を模索するのはアーティストが得意」というような話題から「アートを追えば、テクノロジーの使い道が見えてくる」と結んでいたことに、少しはっとしました。アートという表現の切り口は、なるほど確かにと府に落ちます。

アートは誰かの役に立つためのものではないですが、アートを通じて何か新しいテクノロジーの使い道の示唆になる
もっと、アートに向き合いたいと思いました。

7.Vader Immortalで感じたコンテンツを作ることの真髄

わたしが普段作っているのはゲームではないですし、クリエイターでもないですが、学びが多いセッションだったと思います。

まずVader Immortalは言わずと知れたスターウォーズという超超有名ブランドの新作ゲーム。その名前の強さは言わずもがなですが、名前が知れているからこそ、世界観の構築に尽力した様子が取れる内容でした。
主にどういうエフェクトを使っていたかという話題が多く、ライティングにものすごく気を使ったと語っていました。VRCのワールドを作る人やUnityガチ勢だともっと楽しめたと思いますが、わたしには難しい話が多かったです。

そんな中でも関心を持ったのは「初めにコンセプトアートを作った」という点です。たしかにハリウッド映画などで、資料とは思えないほど美しくかっこいいコンセプトアートを最初に作っているのはよく見かけます。
現在、寺田倉庫でやっている「スター・ウォーズ アイデンティティーズ」でも、額縁に入れて飾りたいくらい素敵なコンセプトアートがたくさん展示されていました。

Vader Immortalについて語ったILMのロンマンさんは、まず2Dのコンセプトアートを作り、そこから3Dに広げて「どういうライティングが世界観を物語るのに適切か」と制作を進めたと語ります。
ゼロベースで3Dを制作するよりも、ひとまず2Dでイメージの共有を行うことでよりチームで認識のズレをなくせます。特にスターウォーズほど力強いブランドの場合は、世界観が何より大切なのかが伝わりました。
このこだわりの強さにILMっぽさを感じたので、スターウォーズファンとしてすごく感動しました!

8.明日はきっと、他業種でもxRを無視できない

このほかにも素晴らしいセッションや展示がたくさんあり、自分の脳や体がどうしてひとつしか無いのか悔やむくらい、体がついてきませんでした。

全体的に、いち人間としての姿勢として為になったのは「クレイジーなくらい前のめり」「全身全霊でオタクでいること」です。オタク丸出しで未来だけ見据えて走っている方々はかっこいいです。
これは初日のビジョナリートークで出てきた話題ですが「海外のエンジニア達は日本のアニメのファンであることが多いので向こうが積極的に接してくれる」「新しい技術に対して既存のSFアニメですぐに認識を共有できる」という日本ならではのメリットも、つい当たり前のように感じてしまうけど凄い事ではあるし、このメリットは活かすべきだと感じました。

2日間通してXRKaigiに参加してみて、一体他業種のOLに過ぎない私がどのようにこの出来事を活かすんだろう? と、自分に問いかけました。
どのように活かすって? 関係ない事、ないやろがい
そう囁く私がいます。そうです。全くもって無関係ではいられないのです。

例えば事務職の会社員の場合は、エクセルを使いこなして経理の仕事をしたり、はたまたプレゼン資料をばっちり作る為にパワーポイントを使ったり。マイクロソフトのオフィス系ツールは使えて当たり前だし、使い方を知らないとなると嫌がられたりします。
DTPやweb系だと、みんなAdobeのソフトを使います。ちょっと難しいこともあるけれど必要なので覚えますし、そういう職業に就きたいなら学生時代に学びます。そのむかし、わたしが未経験で入った映像業界で初めて触るMacで聞いたこともなかったFinal cutというソフトを死ぬ気で覚えました。使えないと殺されるからです。

多分、xRの技術やデバイスもそうなるだろうと感じました
今はまだ、絵を描くためにVRのHMDをかぶる人はほとんどいないとは思いますが、それこそ3Dオブジェクトの制作をする場合には「被っちゃった方が早い」という理由でOculus Questを被ったり。MRの方が早いからとHoloLensを被ってデモンストレーションをしたり、ARがわかりやすいからとMagic Leapをかけてナビゲーションをしたり。状況に応じたデバイスを使ったり、そうした技術を用いる未来は、そう遠くないと思います。きっと転職した先でHMDを被って仕事ができないと殺される未来はすぐそこです。
…というようなことを、XRKaigiと同時にやっていたVR EXPO 2019 TOKYOの展示を眺めて感じました。既に自社のプロダクトにxRの技術を取り込んでいる企業がたくさんあります。過去に、別のEXPOでもそうした取り組みをみたことはありますが、より洗練されてきているような感覚を覚えました。

私がポンコツなので誰が言っていたのかちゃんと書いていないのですが、ビジョナリートークで「2025年の大阪・関西万博までの5年間ですごい変わる」という話題があり、この2日間を通じて「この5年間」をたくさん楽しみたいと強く思いました。

xRの技術があらゆる人の手足となっている明日はいつかな?

以上、ササニシキでした!

※ちょっと読まれるようになったため、誤字が恥ずかしくなったので一部修正しました。(2019/12/17)


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