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参天台五台山記読記017

十六日(乙丑)
雨下。巳時問官著客商官舍乘轎子。具數多眷屬來著。予上官舍住一屋。運納船物以官夫運納。予行向問官許付申文。一見了後返與。明日自參府可獻上者。即還倉休息。未時與船頭共向宿處。店家廿町許。所置物以金銀造。食物菓子。不思議也。七時行法了。

ノート:
雨が降った。巳時に問官が駕籠に乗り、数多くの同伴者を従えて客商官舎に臨んだ。その時、成尋らが官舎に上り、その一部屋に泊まった。船の積荷は衙門の役夫に運搬してもらった。問官がいらっしゃったので申込書を出して意見を伺った。その方がそれを確認し、その場で文書を返してくれた。明日、貴方が自ら都督府に参謁してこれを出せばいいとのこと。それで、船倉に帰って休息を取った。

(画像引用元:kcnews.cc)


ここまで来ると、問官は事件の取り調べだけでなく、外国人を管理する役割もあったように読み取ることができる。今で言う海関の機能も備えていたのではないだろうか?唐の時代には、市舶司という役所ができて、外国商品などの取締りに当たったが、その役人のことを言っているのだろうか。
未の刻に、船頭らと一緒に宿泊先に行った。店は二十余町櫛比している。尺貫法からメートル制に換算すると、約2キロメートル程の店が並んでいる賑やかさが眼前に浮かんでくる。金銀で作られた食べ物やお菓子の食品サンプルが店頭に飾られていただろうか。商業が発達した港都市ならではの風景を初めて目にした61歳の成尋にとっては、キラキラしすぎてどうも不思議に思えたに違いない。

(画像引用元:kcnews.cc)


七刻(後夜)にいつも通り、修行を終えた。

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