参天台五台山記読記012

五日(甲寅)
天晴。辰時借河船移積雜物。人人分乘兩船既了。巳時得順風出船。午時著明州陸地邊進船。未時過明州界入越州界內進船。酉時止船越州小島。亥時依潮滿出船。終夜以艫進船。七時行法了。

ノート:
この日は晴れていた。沿海部での船旅になるので、これまでの航海船では通行できなくなり、2艘の川船をレンタルして、荷物を移動したり、人を転移したりした。辰時にその支度をし、巳時に順風が吹いたため出帆した。

午時に、明州の陸地に添いながら船を進めた。未時に、明州の境界を過ぎて、越州に入った。

酉時に越州のある小島に船を泊めた。しばらくして、潮が満ちたため、亥時に再び出発し、終夜かいを漕いで船を進めていた。

いつも通り、七時(後夜)に勤行を修了した。

六日(乙卯)
寅時一點著越州思胡浦見鵝鳥入籠持來賣與船人。終日留住此浦。七時行法了。

ノート:
寅時一点に、越州の思胡浦に着いた。
籠に入ったガチョウを船の人に売ったのが見えた。それが当時の日本になかった風景だった可能性がある。
終日、この思胡浦に止まっていた。やはり、先日の寝不足を補うためにやったのか。
七時(後夜)に勤行を終えた。

七日(丙辰)
雨下。依潮乾不出船。食糖餅。以小麥紛作菓子也。其體似餅。大三寸許。圓餅厚五分許。中入糖。其味甘美。七時行法了。

ノート:
この日は雨が降っていた。潮が引いたため、出航しなかった。糖餅を食べた。それは小麦の粉で作られたお菓子で、砂糖の餡入りで煎餅によく似ているために糖餅と呼ばれたらしい。直径は約3寸で、厚さは約5分位の丸い餅だった。甘くて美味しかった。
七時(後夜)に日課を修了した。

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