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徳島ー高松間の列車で起きた、高圧的なおばさんを黙らせたサラリーマン

またも昔話。
10年ほど前に、徳島から高松への特急列車で起きたこと。山間部を走っている時に、列車が急停車した。その後10分経過しても社内アナウンスが無い。
夕方の便で大半がサラリーマンの男性。私含めて車両の中にはイライラが充満してきた。15分以上経過した時にやっと社内アナウンスがあった。要約すると次のようなアナウンスだったと記憶している。


「先ほど列車は猪と衝突して急停車致しました。今運転手が猪の死体処理を行っております。お忙しいところ恐縮ですが、今しばらくお待ちください。」


なんと猪と衝突!長年乗り物に乗ってきたけど、初めての経験。

その瞬間私のイライラは無くなった。「猪なら仕方ない。運転手さん暗い中懐中電灯持って死体処理なんて大変な仕事だ。イライラして申し訳ない」

そして車両の中の怒りの空気は無くなり「運転手さん頑張れ!」という無言の一体感が産まれた・・・と感じた。

30分近く停車していた列車が動き出し、次の駅に着いた時に、1人小太りのおばさんが私の車両に乗ってきた。車掌さんを捕まえていきなり、
「なんで駅でこの列車が遅れるという放送が無かったの!いい加減にしなさい。これは大問題よ。本社に正式にクレーム入れますからね!」
といった具合に一方的に大声で叱責が続いた。車掌さんは「はい、申し訳ございません」と謝るのみ。このおばさんは有力者か有力者の奥さんなんだろう、さっき起こったこと知らないくせに何を偉そうに。いや何があろうが車掌さんを一方的に𠮟責する等言語道断。今なら明らかなカスタマーハラスメントで、おばさんの方が逆に糾弾されるかも。

この間わずか30秒足らずだけど、怒りがこみあげて、何か言ってやろうと思っていたら、1人のサラリーマンが、降り際に「うるさい、黙っとれババア!」と叫んだ。先をこされたが、凄くすっとした。列車からの降り際というところがちょっとセコイが、車両のサラリーマンを代表して言い返してくれて良かった。ここでも車両の中は一体感に包まれていたはず。
おばさんはその後黙って席についた。ババアは暴言だけどそれだけおばさんの発言は目に余るものだった。

本当は、車掌さんに逆切れして欲しかったが、公共機関の接客業はそうはいかないだろうな。大変な職業だ。

いずれにしろ、ちょっと偉いから、お金払っている客だからといって、偉そうにしてはいけないということをあらためて教えられた一件だった。

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