【考えたこと】夢と欲の違いとは何だ?

夢と欲の違いは何か。
『チェンソーマン』を読んで、考えたくなった。

夢と聞いて思い浮かべるのは「海賊王になりたい」、「火影になりたい」といった”何らかの地位や名誉を手にしたい”という類のものだ。

現実世界でいうと「宇宙飛行士になりたい」、「サッカー選手になりたい」、「事業を起こしたい」など、”就くのが難しいとされている職業に就きたい”というのも夢だと思う。

更に、「世界中を旅行したい」、「憧れの車を購入したい」という”体験や財を手に入れたい”、も私は夢と呼ぶ気がする。

では、欲と聞いて思い浮かべるものは何だろうか。

シンプルに「寝たい」、「食べたい」、「性行為がしたい」や、「安全を確保したい」という”生物的欲求”も欲と呼ぶだろうし、「コミュニティのメンバーに認められたい」、「SNSで称賛を浴びたい」といった承認欲求も欲だろう。

オードリーの春日さんが「とにかくお金を使わずに生活することに興奮する」とテレビ番組で言っていた。ちなみに通帳の残高が増えていることには興味がないらしい。そこまで突き動かされる衝動は欲だろうなと思った。

『チェンソーマン』でいうと、デンジの「胸を揉みたい」、「キスしたい」は性欲ともいえるが、知的好奇心から来る欲でもあると思う。16歳まで、一般的な1990年代の日本人が享受できたであろう文化的な生活を送ってこなかったデンジだ。今まで知らなかったことを知りたいと思うのは当然だと思う。

では、上に挙げた夢と欲の違いを考えてみる。
夢は綺麗だ。すっきり整理されて他人も応援したくなるだろう。それは、”達成条件がわかりやすいこと”かつ”実現が困難であること”が夢だからだと思う。

一方で欲は、自分にとっては死活問題だが、他人からすれば理解できないことのほうが多い気がする。欲といっても色々あるが、共通するのは”満たすと快感を得られる”ということだろうか。

そして、欲は理由などなく突然体の中に湧いてきて、人間を突き動かす熱源になるのだと思う。もしかすると、すべての欲は”子孫を残す”ことに根底では繋がっているのかもしれないが、発達した人間社会においては、必ずしも子孫を残すことに繋がらない欲も出現するのだろう。

欲は気付いたら自分の中に存在しているので、満たし方がわからないときもあれば、いくつかの欲が複合したものだと理解できずに、まったく別の欲だと勘違いするときもある。

となると、欲がまず最初にあり、それをうまく社会に適合するようパッケージングしたのが夢なのだ。

だから、そもそも掲げた夢が自分の欲と乖離していたり、もう満たされているのに夢だけが宙ぶらりんになったりすることがあるのだ。

夢を掲げることは素晴らしいことだが、設定する前に自分の欲に向き合えていないと、いつか矛盾に苦しむことになるのだろうな、と思った。


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