47 お耳を掃除しましょうね

「耳掃除は自分でするの限界あるよな」
シャワーを終えたフォルクハルトは、ソファに座って綿棒を自分の耳に突っ込みながらそう言った。
「ん?やってやろうか?」
リビングの床に座って、録画していた猫の番組を観ていたハルキがフォルクハルトの方を向いた。ハルキは床の方が落ち着くらしく、ソファがあるのに床に座ってる事は多い。
フォルクハルトは耳を手で覆ってブルブルと首を横に振る。
「無理だ。そんなの正常でいられない」
「ただの耳掃除だろ?」
不思議そうな顔をしたハルキに、フォルクハルトはまた首を横に振る。
「耳は…ダメだ」
ハルキは「そういえば、耳を触られると感じる」と言っていたなと思い出す。
「そんな…触られるだけでも…なのに、中に挿れるなんて…」
まだ何もしていないのに、すでに恥ずかしそうにしているフォルクハルトにハルキは呆れた。
「いや、ただの耳掻きな。別に嫌ならいいが」
「ん…」
フォルクハルトは、怖いという気持ちと、やって欲しい気持ちの間で葛藤する。ハルキは床の上で座り直して正座すると、フォルクハルトを見てポンポンと自分の腿を叩いた。ここに来いと言う事らしい。先に風呂を終えていたハルキは、いつものショートパンツだった。引き締まった、それでいて柔らかい太腿。
「………お願いします」
フォルクハルトは結局、自分の欲望に負けてそう言った。
ややぎこちなく床に座ると、ハルキの太腿に顔を埋める。
「おい」
ハルキに怒られて体を横に向けるが、自分でも体が強張っているのがわかる。
「なんでそんなに緊張してるんだ?」
ハルキに問われて、自分の着ているTシャツをギュッと握る。
「人に耳掃除してもらうのは初めてだ」
「いや、子供の時に親にやってもらったりしてるだろ」
「…記憶にない」
もしかしたら、そんな時期もあったのかもしれないが、実際記憶にはなかった。
ハルキは「そうか」と言って、綿棒を手にする。
「じゃあ、始めるぞ」
ハルキが少し触れた瞬間にフォルクハルトはビクリと体を震わせた。
「動くな、やりにくい」
「ん…」
耳の中に入ってくる感覚にゾクゾクする。
服を握った手に力が入る。
「ウェットタイプなんだな。まあ、私もだが」
そんな事をを言いながらハルキは少し耳を引っ張って中を見る。
「あ…」
フォルクハルトの吐息が漏れる。
「…変な声を出すな。」
ハルキの呆れた声と共に、優しく入ってきたものに中を撫でられる。
ハルキにされていると思うと、頬に触れている柔らかい太腿の感触も合間って異様に興奮した。

「うん。次、反対」
ハルキに言われて、フォルクハルトは寝返りをうって彼女の方を向き、その体に腕を回す。
「え?こっち向きでやるのか?やりにくいな…」ハルキは戸惑いながら反対の耳掃除に取り掛かった。
腰に回された腕は、ハルキにしがみつくようにやけに力が入っていた。
「落ち着け。大丈夫だから力を抜け。」
「ん…」
ハルキに言われるまま、フォルクハルトは少し力を抜いた。
「いれるぞ」
「ん…」
フォルクハルトの耳に触れるとやはりピクリとする。さっきよりは動きを抑えようとしているらしい。
「んあ…」
フォルクハルトの口から艶かしい声が漏れる。
「だから変な声を出すな」
少しイラついたハルキの声に、フォルクハルトは子供のように言い訳をした。
「そんな事いわれても…ハルキに挿れられてると思うと…」
「綿棒な!耳掃除!」
ハルキに強く言われて、フォルクハルトは「すまん…」と謝った。
ハルキは、「ただの耳掃除で、なんでこんないやらしい感じになってるんだ」とイライラしていた。
「はい、おわり」
なんとか反対の耳も終わらせて、ハルキはフォルクハルトに起きるように促す。
「もっと中まで挿れられるかと思った」
「耳掃除は入り口付近だけだぞ。奥に入れると耳垢を押し込んで良くないし、やりすぎは傷の原因になる」
少し拍子抜けしたようなフォルクハルトに講釈を垂れ、ハルキは足を崩した。
フォルクハルトは「そうか」と言って、自分のTシャツを引っ張って何かを隠した。
「じゃあ、交代な」
ハルキが言うと、フォルクハルトは気まずい顔をする。
「…………すまん。無理だ」
「えー?自分だけズルくないか?」
ハルキが口を尖らせて文句を言うが、フォルクハルトは俯いて目を逸らす。
「その…今膝枕すると…あたると思う」
「あたる?」
フォルクハルトは伝えて良いものか少し迷ったが、ここまで言ったらもう同じようなものだ。
「………勃起した」
「耳掃除で?」
ハルキは怪訝な顔をする。
「耳はスッキリしたが、下半身がスッキリしない」
「…最低だな。さすがにどうかと思うぞ」
やや軽蔑したような目で見られてしまったが、もう後には引けない。
「俺も挿れていいか?」
「何処に何をいれる気だ?あと「も」てなんだ。こっちは耳掃除しただけだぞ」
「ダメだろうか?」
「質問に答えろ。何処に何をいれる気だ?」
ハルキは少し怒ってるなと思い、フォルクハルト、悲しげな子犬のような顔でハルキを見つめた。
ハルキは黙って手でバツのサインをだす。
「No」
フォルクハルトの誘いを明確に断ったハルキだっだが、「挿れて欲しいなら、今度そういう玩具でも買って試してみるかな」などと考えていた。

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