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ミルクティー同盟結成のお知らせ

香港と台湾、タイのネット市民たちの間で「ミルクティー同盟」が結成された。

なぜ”ミルクティー”同盟なのかというと、香港、台湾、タイにはそれぞれに特徴的なスタイルのミルクティーがあるからだ。

台湾のミルクティーといえば、日本でも人気となったタピオカミルクティーこと「珍珠奶茶」。

タイのミルクティーといえば、通称タイティーと呼ばれるオレンジ色のアイスミルクティーである。


そして香港にも独自のミルクティーがある。タピオカやタイティーと比べると、国際的な知名度は低いけど、地元では大変愛されていて、日本の香港ファンの中にはこれを飲みたくて香港に通うという人もいるほどだ。

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濃く淹れたセイロン茶とエバミルクから作るのが特徴で、ストッキングのような茶漉しを使って淹れることから香港外では「ストッキング・ミルクティー」(絲襪奶茶) と呼ばれているけど、香港ではただ「ミルクティー」といえば普通はこれが出てくる。濃厚な練乳と渋みの強い紅茶のハーモニーが絶妙で、一度飲むとクセになる。 

そんなわけで、「ミルクティー同盟」というのは、台湾、タイ、香港の人々のミルクティーにかける情熱が伝わってくるすばらしい名称なのだ。


だけど問題は、どうしてそもそもこんな「同盟」が結成されてしまったかだ。

ことの発端は、あるタイの俳優と彼のガールフレンドがSNSに行った投稿だった。

きっかけは彼がたまたま、台湾や香港が「国」としてリストアップされたTwitterの投稿をリツイートしてしまったりとか、あるいは彼女の方がInstagramへの「中国の女の子みたい」というコメントに「いや、台湾風だから」と返していたとか、そんな些細なことだったのだが、彼が中国でも人気になったBLドラマの主役だったものだから、それらの投稿が中国ネチズンの目にとまってしまい、「台湾独立派なのか」という批判が大量に寄せられるようになってしまった。


ここで終わればただのよくある炎上騒ぎで終わったのだろうけど、タイのネチズンたちがこれらの批判に強烈な反発を示し、彼女のInstagramのアカウント名「#nnevvy」を舞台に、猛烈な罵り合いが展開されることになった。

圧倒的な物量を誇り百戦錬磨の(たぶん)中国勢だったが、今回の戦いは分が悪かった。もともと反体制的な論調を張り、自国の政府を批判しがちな傾向にあったタイ・ネチズンたちには、タイの国家・政府への攻撃が全く効かなかったのだ。

「うちの国はプア(poor)だけど、おまえの国はプー(pooh)だろ」
「おまえらの政府マジでクソ」
「6年前から知っとるわ」

などなど、中国ネチズンからの攻撃を自虐ネタを交えて華麗にかわしながら反撃するタイ・ネチズンの戦いっぷりが、日頃から何かと中国勢と舌戦を繰り広げがちな香港/台湾ネチズンの注目を集めるようになった。

(中国勢とタイ勢の論争をミルクティーを飲みながら見物する香港&台湾勢の図)


それで、いつしか、この束の間の連帯を、「ミルクティー同盟」と呼ぶものがあらわれはじめた、というわけだ。

世界的にお家で過ごす人が多い影響なのかもしれないが、このハッシュタグはいまも盛り上がり続けていて、いろいろとすごいことになっている。

これまでの香港におけるタイのイメージは「魔力の強い国」というものだったけど、これからはこれに「レスバも強い国」という称号が加わるのかもしれない。


今日も#nnevvyタグ上で繰り広げられるグローバルなレスバトルの過熱っぷりは、わたしなんかもうただひたすら見物するしかないのだが、ひとつだけ言えることがあるとすれば、「香港ミルクティーおいしいからぜひ飲んでみて」ということだ。

ミルクティーに幸あれ!


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(本場のミルクティーはしばらく味わえなさそうなので、最近はもっぱらStayHomeしながら自分でおいしいミルクティーを淹れる練習をしている)

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