“彼氏”

今回ではじめて記事を書くことになるが、書き方が合っているかはわからない。もし、間違えていたとしても温かい目で見守ってほしい。

いきなりだが、この記事を読んでいる少ない貴重な方々には彼氏がいるだろうか?わたしにはもちろんいない。私自身、今、彼氏がいなくても生活に満足しているからだ。そして、男性に好意を寄せられるのが極端に少ない。後者が彼氏がいない理由としては最もであるが、現状を受け止めつつも今に満足している。

しかし、後者の理由が最もだと、いつか彼氏が欲しいと思う時が来た時が一番苦労する。この事実にゾッとするがそこの話はひとまず置いておこう。

ここからの話がわたしがnoteを始めた理由である。長い前置きになってしまい申し訳ない。

先日、わたしは久しぶりに3人でランチに出掛けた。

その友人たちは1人は小学生の頃からの付き合い(A)で、もう1人は高校生の頃からの付き合い(B)である。

そのランチで“彼氏”の話になった。Aは大学でできた友達が彼氏がいるそうで焦っていた。「彼氏が欲しい」と何回も口にしていた。

その時、ふと、私は遠方で一人で暮らしている共通の友達の話を思い出した。その子は最近、同じ大学の男の先輩(交際していない)に二人きりのカラオケで抱きしめられたことがあった。わたしは世間話としてその子の名前を伏せつつもそのことを話した(ゲスな世間話である)。

すると、Aは意外な反応をとった。

「えー、いい出会いやん!そんなことがあるなんて〇〇やるな」

予想外だった。

カラオケで大の男に抱きしめてと迫られ、逃げられない状況で従わざるおえなかったのは怖いことなんじゃないか?

それとも、世の女性たちからしたら、この行為が“気持ち悪い”と感じるわたしが異常なのだろうか。

Bはわたしと同じようにその行為に関して、嫌悪感があったらしく、顔をしかめていた。

疑問に思いつつも、適当な相槌を打つと、Aは質問してきた。

「顔はどうなん?」

私が普通だ(その友人が言っていた)と答えると、Aは付き合ったらいいのにと言った。

例え、顔が悪かろうと良かろうと会って2回目の女性にそのような事を言う男はとんでもないやつであるのは間違いない。わたしの倫理観ではそうだ。

しかし、Aは違っていた。変わったという方が正しいのかもしれない。昔のAならば、別の反応をしていたであろう。

いや、わたしが知らないだけでAは元からわたしと価値観が違う人間だったのかもしれない。恋愛トークというやつは彼女とはほとんどしたことがなかったからわからないからである。

私としては、その会話だけで終われば良かったが、あることを言われた。

「佐倉は彼氏が欲しいと思わないやろ」

私はその言葉に引っかかるものがありながらもうなずいた。その心は本心であるからだ。

「自分が今の人生に満足してるっていいな」

諦めにも哀れみにも羨望にも聞こえるそれはわたしの耳の奥にこびりついたままである。

そこから、私は“彼氏”について深く考えた。

縁遠い生き物である。幻獣と言ってもいい。神話生物でも正しいかもしれない。

そもそもわたしの周りで“彼氏”という話題が出たのは何時ごろだっただろう。すでに小学生の時には話題に出していた。当たり前のように『女は男が好き。男は女が好き』と思い、皆に接した。知識がない故の愚かさであった。

中学の頃は彼氏ができた友達に振り回されて、散々な思いをした。言い方が悪いが、彼氏が出来たら性格が変わる人もいるのだと知った。

高校になると“彼氏”が一気にステータス化した。わたしのような喪女には関係ないが、キラキラとした女子たちはどんどん可愛くなって、“彼氏”を作っていく。“彼氏”との記念日にはインスタでストーリーを出し、お祝いをしている様子は何回も流れてきた。

しかし、“彼氏”とは一体なんだろう。

自分を支えてくれる存在?

愛しい相手?

幸せにしたい存在?

ステータス?

自己顕示の道具?

財布?

どれも聞いたことがある。世間で言われている。

答えは出てこない。恋愛関係の乏しい自分にはわからない。

「恋をしたら、佐倉も“彼氏”欲しいって思うよ」

恋をした相手に“彼氏”になって欲しいのか、それともその感情を抑えるために“彼氏”が欲しいのか。その答えは彼女の心の中である。

この後、Aは彼氏ができた。

この一連のことで彼女はわたしと違う生きものになったということだけが分かった。友達であることは変わらないが、“別の人”になったような感覚であった。すこし置いていかれたという感情もあった。

その中ではっきりしていることは、Aが“彼氏”に泣かされたら、鉄バットを持っていくことだけだ。

“彼氏”が欲しくないし、できないわたしに出来ることは今はそれくらいだろう。

おめでとう。友を泣かせたら頭にフルスイング。

友達とこれから付き合うであろう“彼氏”たち、いや、交際相手に送る言葉としてはこれがいい。

Aよ、彼氏ができておめでとう。