『草津温泉へ! 下』 2023/08/05 日記

草津温泉 露天風呂


草津温泉に着いた。今回の目当ては露天風呂。温泉街の方も凄く気になったけど、やはり”露天”という言葉に惹かれる。風呂は駐車場から少し遠いので頑張って歩かなければならない。歩きたくは無いけれど、このちょっとした運動が後の温泉をより良いものにしてくれるはずだ。空腹が最高の調味料なら、運動が最高の入浴剤?興奮剤?ムードメーカー・・・暫定。
入用料金700円。バスタオル・・・1700円。????え?高すぎない??そんなもんなのか・・・?持ってきてよかった~。
浴場は思ったより広くて、思わずおぉって唸る。温泉はエメラルドグリーン。温泉自体は透明に近い。温泉の成分が岩石を緑色に染めていて、それが反射してエメラルドグリーンに見えるというわけだ。広さといい、色といい、さながらプライベートビーチだ(それにしては侵入者が多すぎる)。中には数人の人。年齢とかはあんまり分からない。目が悪いので橙色がぷかぷか浮かんでいるように見える。かけ湯をしてから、大きな湯船につま先をそっと入れてみる。全然熱くない。シャワーとかが一切無いので、あんまり汗をかかないくらいの温度に設定されているのかな。大きな岩石に背中を任せる。両手を組み、頭の上まで伸ばしてグーーーーーっと伸びをする。はあぁぁぁぁ。この開放感が堪らない。足も大胆に放り出す。気持ちいぃぃぃ。どんなに最高クラスの座席でもここまではできないね、こりゃ。それを700円で可能にするってんだから、どんなからくりなんだと問いたくなる。
隣に三人のおじさんが座った。話していることがめちゃくちゃ聞こえてくる。温泉にいると心なしか声が大きくなる気がする。「ここは昔、中央の柵が無くて混浴だったんだよ。」「へぇ、そりゃまたすごいね。」「今も残っているところってあるんですかねぇ。」。良い話題だね。答えはある。それもこの温泉に。金曜日の夕方だけは今でも混浴になるのだ。同士よ。解放戦線はすぐそこであるぞ。

賽の河原


温泉を上がってその辺をぶらぶら歩いていると、『この先温泉街』という看板があった。どうせなら行ってみよう。歩いてすぐの所に賽の河原がある。おそらく、あの”賽の河原”だ。所々石が積み上げられている。すごく健気だ。こぢんまりしていて微笑ましい。これを蹴り飛ばすなんて一体誰ができるのだろう。そんなやつはきっと鬼に違いないな。

奇跡の4人組


温泉街に入る。時間が時間だから、土産屋が閉まっていて閑静な雰囲気。ぽつん、ぽつん、と見える明かりは居酒屋だ。湯畑を目指して歩いていると、前方に二人の男が道路の両端に待ち構えているのが見えた。通り過ぎようとすると、「お兄さん温泉まんじゅう食べた?」「食べてないならほら、ちょっと食べていきなよ。」「あついお茶も、ささ、どうぞ。」「あっ、ここだと通行人の邪魔になっちゃうからね、お店の中で飲んでね。」。間髪入れずにコレである。「どうぞお兄さんそこに座ってね、ゆっくりしていきな。」流れるように椅子に掛けた。まんじゅうを食べている間もゆっくりしてはいられない。「まんじゅうは最低6コから売ってるよ。6個入りで800円なんたらかんたらー。」。情報はどんどん頭に詰め込まれる。私がまんじゅうになってしまう。まんじゅうの味を噛みしめる余裕は露もなかった。頼むからゆっくり食べさせてほしい。スピードラーニングでもここまでじゃないぞ。
頭がバグる。気づいたら温泉まんじゅうの袋を抱えていた。
出口へきびすを返すと、手前のテーブルにおびただしい湯飲みの亡骸があった。何人もの人が引っかかったんだな、・・・思わず手を合わせたくなった。
ここまで僅か5分。まさかの回転率!!この4人なら国家機密だって盗めるんじゃないかという団結力と計画性。天才だ!あっぱれ!

湯畑


中心街に入ると、さっきとは打って変わって賑わっている。屋台なんかもあったりしてお祭りムード全開だ。気分が乗って焼き鳥を買った。ぼんじりが旨い。良い眺めと旨い焼き鳥、最高だ。しかし、ビールが飲めないのが残念でならない。
中心街の道路は湯畑で分断されている。湯畑とは、整然と並んだ格子状の桶の中に温泉をたっぷり入れたもののことで、格子一つ一つが畑のように見えることからその名が付けられている(はず)。良い眺めだ。取り囲んでいる道路は緩やかな傾斜になっているため、見る方向によって全然違った景色に見える。傾斜が低くなった先端には滝があって、これもまた良い味がある。温泉というなじみ深いもののせいか、始めてきたのに不思議と安心感が感じられた。ふう。一息ついたので帰るか。
また同じ道を通ると、またあの二人が待ち構えている。今度は切り抜けてやる!!そう思い歩を進めた。「お兄さん温泉まんじゅう食べた?」、きた。前と全く同じ文言、トーンで語りかけてくる。もしやNPCなのか。「はい、先ほどいただきました。」「・・・正直者だね。」、そう言うとにっこり笑って道を開けてくれた。正直者だね・・・?そんな言葉童話でしか聞いたことないぞ。もし仮に嘘をついたらどうなっていたのだろう。「そんなに欲しいのなら・・・全部詰め込んでやるよぉ!!!!!」と窒息させにきたかもしれない。はたまた改造されてあの素晴らしい販促の道具として使われるのかも。実際そんなことは起こらないはずだが不安症なのでなんとなく考えてしまった。初めて正直者でよかったと思った。

帰宅


空もそろそろ幕引きの準備をしていた。車に入り込む風が気持ちいい。天然のクーラーだ。温泉で火照った体が段々静まっていくのがわかる。
家に帰ると早速、お茶を入れ、温泉まんじゅうを手に取った。

温泉まんじゅうはうまかった。


今日はこのくらいで。
おやすみなさい、さようなら。

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