ささくれ

思いついたこととか、思い出した話とか! エッセイ!みたいな!

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最近の記事

こもれびの話

こもれびは、 いくつになってもわたしの心を奪う 寂しさが私の隅できらりと光るとき、 なぜだか無性に、 あの揺らめく光を求めてしまう。 今日もどこかでいのちは朽ちる。 ここよりもずっと遠くの方で声がする。 真っ黒な影が、止まることなく伸びてゆくから きっとまだ終わらない。 わたしが、わたしではなくなるいつかの日 そんな時でも心の中には あの魅惑のゆらめきが生きている。

    • 長所

      大人になるほどに 今まで自分の長所だと思っていた純粋さ、素直さが荷物になっていく。 人を信じすぎる癖と、綺麗なものが溢れているといまだに疑わない性格。 正直に愚直に生きていることがわたしの正しさで、そうすることで自分を好きでいられて、自分自身を保つことができると思い込んでいた幼い私が、足にまとわりついてきて上手に歩けなくなる。 大きな潔白を抱えて生きている自分を殺す強さと、世の中の現実を突きつけられて涙を流しながらではないと生きられない子供のような私は、永遠に交わることが

      • 真っ黒で虚ろな瞳 そこに映るのは夏の空 真っ青で、軽くて、空虚な空 夏の寂しさは本物だ 暗い日々の中で 吸っても吸っても酸素が足りない時、 手足が痺れて固まることを知った。 自らの目を手の平で塞ぐと あの青が視界いっぱいに広がる。 底なしの明るさと暗さが共存した夏の空。 わたしのことなんて何も知らないと言いたげな、 冷たい他人のような青。 人は、寂しさというものがなくなった時に初めて、人間としての死を迎えるのだと、その青色を見た時初めて思った。 得体の知れない夏

        • ささくれの話

          皮膚むしり症というものを知っている人はどれくらいいるのだろう。 皮膚むしり症は、不安感や緊張を感じた時、手や足などの皮膚を剥がしたり、引っ掻いたりしてしまう精神障害だ。 わたしもその症状に悩まされているうちの1人で、ストレスやプレッシャーがかかると指のささくれを剥かずにはいられなくなってしまう。 そうすると落ち着くとか、そういうのではなくて、なんとなく手が動いてしまうのだ。 物心ついた頃からこの癖はわたしの体にこびりついていて、歳を重ねるほどにわたしを悩ませている。 だっ

          付箋

          美しい音をきいて涙が出たこと 両手で自分を包み込んだ夜のこと 生ぬるい夜風を頬に浴びながら 明日を羨んだこと 全てが人生の全盛期 一つ一つ、付箋をつけるみたいに 記憶の跡をつけてゆく。 あなたの最期の日、 きっと灰と一緒に残るのは 涙が止まらないときに食べたケーキの甘さや、 息も出来ないくらいに閉まってしまった喉を ゆっくりとほぐす誰かの言葉。 お腹が痛くなるくらいの怒りを抱えた体の重たさ。 そういう、尊くて淡い、 だけど底なしの力強さを感じる記憶たち。 きっとこれから

          眠れない夜は決まって、 どうやったって人との距離が埋まらないことを思い知る。 どれだけ一緒にいる時間が長くても、 どれだけ深い話をした相手でも、 結局は私以外の他人で、 違う場所で生まれて、 バラバラの場所で、それぞれ死ぬ。 その紛れもない事実が、 たまらなく私の胸を締め付ける。 見つめているものが完全に違うことを どこかから感じ取ってしまったとき、 音も匂いもしない宇宙の真ん中で ただ1人、私だけが宙に浮いている。 ひとは、重なり合えない。 そんなことは私が産声を上げた

          しらない

          生きること それがすごく楽しくて、 尊いものだと気が付いたのは 私が23になる前日だった。 知らないことを知ろうとする行為が昔からすごく苦手だった。 未知と触れ合うことが、とにかく不安で、私の知らないものは恐怖の塊でしかなかった。 「知らないことが多い」ということは、幸せの数が多いということだと思う。生きているうちの幸せというものは、見つけようとすると益々見つけられなくなる。 目を閉じて、ゆっくりと呼吸をしていると1番の幸せが今、自分の手の中にあるんだということがわかる。

          未来

          星野源の未来を聴くと、完成した卒業制作を抱きしめて電車に揺られていた時を思い出す。 必死の思いで作り上げた卒業制作。 毎日、孤独の中で、頑張って呼吸をして戦った時間。最初から最後まで、周りに人がいたとしてもわたしの心はずっとひとりぼっちだった。誰に言葉をかけられても、どんな歌を聴いても、永遠に孤独だった。 帰りの電車で、体温が宿ったような大きな箱を抱えて座っていた時に聴いていた。前も後ろもわからず、ただひたすら歩くしかなかった日々。 「たった一つだけを、君は持っている」

          小さいおじさん

          小さいおじさんの話を、 幼い頃からよく母に聞かされていた。 音楽を流す機械のなかには小さいおじさんがいて、そのおじさんは、いつもタイミングよくその時の状況や気持ちに合わせた音楽を流す。 そういう話。 例えば、車の中である曲の話を家族でしている時に、ランダム再生で流しているはずスピーカーから偶然その曲が流れたりする。 それが、小さいおじさんの仕業だと私の家では言っていた。 家庭の事情的に、昔からあまり家族団欒の時間がなかった私の家にとって家族の時間というものは、たまに行く

          小さいおじさん