見出し画像

Tomoko Kawahara / The Phantom Shore

Tomoko Kawahara / 
The Phantom Shore

2021年9月22日(水)-10月10日(日) 9:00-18:00 ※月曜・火曜定休
ベーグル喫茶 森の生活者 (鳥取県鳥取市弥生町103 柏木ビル 2階)
入場無料

主催・お問い合わせ
現時点プロジェクト

儚く過ぎ去る日常の光景に、河原朝子は写真を撮るという行為で向き合ってきました。その写真は今を留めるだけでなく、忘れていた感覚を呼び起こし、気づけば私たちは、知らないはずの場所にいる自分を思い浮かべています。切り取られたのはほんの一瞬ですが、それを見る私たちは永遠への入り口に立っているかのようです。
私たちは同じ景色を見ている時でも、そこに同じものを見ていないのかもしれません。でも、もしかすると、その時私たちは同じ夢を見ているのかもしれません。

河原朝子さんの展示を見た。

ある決定的な瞬間に立ち会えなかった者が、その時、代わりに別の場所で見た別の光景を強烈に記憶してしまう。不在の風景はあっても、風景の不在はあり得ない。目を開いても閉じても、見ようとしてもしなくても、何かしらが見えてしまう。そのようにして見て(見えて)しまった風景が時間の経過と共に記憶となり、自分自身にとって何か決定的なイメージの座を占めるようになる。そんな風景を採集しようとした写真群に思えた。

河原さんの写真は遠くのほうに見える。カメラと被写体の距離や、画面内画面による覗き見感、プリントのサイズ、額装の仕方など様々な要因があるだろうが、いずれにせよ、どれだけ近づいて見ても、そこに辿り着ける気がしない。此岸の風景と彼岸の風景、見えているが見ていない風景と、見ようとするが見えていない風景が重なり合っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?