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エアコンじゃない本物の霧ヶ峰、あまりに爽快すぎる開放感〜フラット登山という提案⑧

霧ヶ峰(きりがみね)というと、三菱電機のエアコンの名前としか知らない人も多いのでは。でも架空の山の名前ではありません。長野県に、実際に霧ヶ峰という山岳地帯があるのです。

とにかくだだっ広い草原の世界

霧ヶ峰の最大の特徴は、とにかく草原!とにかく広大!とにかく気持ちいい! それに尽きます。霧ヶ峰の正体は実は火山なのですが、典型的な山のかたちはしていません。おそらく数十万年前に噴火して山体が吹き飛び、いまのように平たいかたちになったのでしょう。山というよりは、丘の上に高原が連なっているような地形です。


夢の中に出てきそうな草原をひたすら歩く

霧ヶ峰を歩くときにスタート地点になる車山(くるまやま)の山頂は、ふもとから展望リフトで上がれます。楽ちんです。リフトで一気に標高を稼いでしまい、あとはちょっとした登り下りがあるだけで、広大な緑の草原をひたすら楽しめる。自動車道や舗装道がなく、建築物もほとんどないので、信じられないほどの大自然です。ここを歩いてる人があんまりいないのは本当もったいない。

展望リフトであっという間に山頂。そして人混みを抜けて……

展望リフト乗り場のある車山公園は、中央自動車道の茅野インターからクルマで40分ぐらい。JR中央本線の上諏訪駅や茅野駅から路線バスも出ています。リフトに乗ってがあーっと上がると、もうそこは高原の山頂。夏のシーズンにはすごい人出なので、山頂はさっさと脱出してしまいましょう。


霧ヶ峰の登山道はよく整備されていて、非常に歩きやすい

車山の山頂から北側を見ると、下っていく階段状の登山道が見えます。そこから下の方を眺めれば、広い草原を縦横に登山道のようなものが走っているのもわかるでしょう。そのあたりが「車山乗越(のっこし)」と呼ばれる地点です。まず車山乗越を目指して、登山道をひたすら下ります。けっこう急ですが、階段が切ってあるので危険はありません。

車山乗越から、西の方角へと進みます。最終目的地は、八島が池という素晴らしい湿原です。そこに至る登山道は、山彦尾根沿いに行く北ルートと、蝶々深山を経由する中央ルート、沢渡を経由する南ルートの三本。ここは中央ルートを選びましょう。広大な草原のど真ん中を突っ切る最高の道です。

ゆるやかに小さなピークを越えて道はどこまでも続いていく

道はゆるやかに登ったり下ったりしつつ、蝶々深山というちょっとしたピークを越えていきます。ピークといっても、たいした登りではありません。夏は入道雲と緑の草原のコントラストが美しく、秋はススキの原が出現し、周囲の峰々が真っ赤に紅葉します。とにかく空が広い! 日本にはたくさん山がありますが、これほどの開放感を味わえる場所はそうはありません。

さらに進むと物見石という休憩しやすそうな場所があります。ここの先から、道はだんだんと樹林帯に入っていき、展望は終わります。しかし!その先にはもうひとつの宝物が待っています。樹林帯を突然抜けると奥霧小屋(休業中)という山小屋があり、小屋の前の分岐を右折して八島が池を目指します。


極楽浄土とはこのような場所か。八島が池の信じられない美しさ

やがて見えてくる八島が池!素晴らしく美しい湖と、周囲に広がる湿原。夢に見たユートピアのようなところです。一緒に歩いた山仲間のひとりはうっとりした顔で「死んだらこんな極楽に行くんだろうか……」と独白していました(笑。極楽浄土というものがあるとしたら、たしかにこんな場所かもしれません。

八島が池から南ルート経由で車山に歩いて戻ることもできますが、池のそばの八島山荘にはバス停もあります。バスでここからクルマを置いてる車山高原リフト乗り場に戻ることもでき、茅野駅や上諏訪駅に下ることもできます。上諏訪駅に降りたら、日帰り入浴できる「片倉館」が絶対のオススメ。映画「テルマエ・ロマエ」のロケ地になったことでも有名で、レトロな風情が最高の温泉です。


レトロな風情がたまらない日帰り温泉・片倉館

【歩行タイム】
車山から八島山荘までなら、わずか2時間。八島山荘から車山乗越まで歩いて戻ると、プラス2時間半ぐらい。
【難易度(レベル1=初心者でも誰でも〜レベル4=そこそこ難易度高し)】
レベル2=危ないところはありませんが、登山道が縦横に走っていて天気の悪いときには道迷いしやすい。スマホの地図アプリを見ながら歩きましょう。
【高低差】
小さな登り下りだけで、高低差はほとんどなし。
【足まわり】
雨の後はぬかるんでることもあるので、登山靴のほうが良いでしょう。
【お勧めの季節】
春から夏、秋の終わりまで。冬は積雪があります。
【官能度】
「広大で畏怖がある」
「変化に富み、足に快感がある」

雑すぎる霧ヶ峰のマップ


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