もっとサインの練習しとけばよかった。

僕の仕事は変わってる。
ザックリいうと、ECでご購入いただいたお客様にサンキューレターを書く仕事だ。ギリギリ「文章で飯を食べてます」と言えると思う。
まぁ、普通のサンキューレターってテンプレ文のみだと思うんだけど、うちのチームはお客様一人一人、内容を変えているので、中々ウケが良い。

そんな仕事をしているといわゆる「ファンの方」もできるわけで、僕もそこにもれずメッセージの指名をいただけるようになった。
いつもは「前回もメッセージありがとうございました!以下返信です〜」って風なんだけど、その日は違った。数回やりとりをしていたお客様からこんなリクエストが来た。

「僕の買った商品に佐々木さんのサインを書いてくれませんか!」

まじか。あまりに想定外の話に「ヒヒっ」と気持ち悪く笑ってしまった。
サインというもの自体プロ野球選手が色紙に書いたり、テニスプレイヤーがカメラに書いてるイメージでしかなくて、1庶民の僕が書くものだと思っていなかった。
だから、書くサインが無いのだ。
この時ほど
「学生時代にノートの端でオリジナルサインを考えておくんだった」
と思ったことはなかった。
お客様の「!」という一音から伺える期待度が胃を締め付けた。

野球部が「将来プロになったら、こんなの書くぜwwww」みたいなこと言ってた記憶しかないし、僕はそれをばかにしてた。
まぁ、ばかにしながらオリジナルのジョジョのスタンドを考えてたりしたからまた別のベクトルのキツさがあるわけだが、その話はまた今度にしよう。

あまりにも唐突なサインリクエストに焦った僕はその場で仕事用のスケブにサインの練習を始めた。その時の部下の「なんかしとる」って目は中々来るものがあった。 想像してみてほしい。
自分のチームリーダーが急にスケッチブックにサインの練習し始めた
これがどれだけ謎を生むのかわかるだろう。
「佐々木さんどうしたんですか?」
と聞けば
「ヘヘッ サイン求められてさwwww」
と気持ち悪い返答が来るのだ。謎が謎を呼ぶのは明白だろう。

そんな懐疑に満ちた視線を耐え、僕はサインを書いた。
英語の筆記体を崩した感じの【THE】って感じのだ。

お客様は喜んでいただけたのだろうか。
まだ返信は来ていない。
僕は今回の件を通じて一つ真理に気づいた。

義務教育は国、数、英、理、社、オリジナルサイン
を基本とすべきだ。あ、あと税金とか役所とかそういうのも。

あぁ僕のサインは今お客様にとっての宝物になっているのだろうか。

メルカリに出てたら嫌だな。
2021春。ご機嫌いかがですか。

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