佐々木めばえ

北海道十勝出身。米国で自閉症のある方々と関わる中で"すべてがひとつのいのちで…

佐々木めばえ

北海道十勝出身。米国で自閉症のある方々と関わる中で"すべてがひとつのいのちである"という感覚を抱き2020年より"生命の森"というテーマを掲げて制作を始めた。コロナ禍2年7ヶ月、欧州,中米,東南アジアの8ヶ国を旅し、現在は東南アジアと十勝の2拠点で絵画と作陶,展示,講演を続ける。

最近の記事

Story of my life 前編

絵具を使って本格的に作品を制作するようになったのは、昨年の秋からでした。去年の夏にアメリカにある自閉症児者専用のキャンプで働いて帰国した後、自閉症について語ること自体に意味があるのか自問し、語り得ないことについては沈黙しなければならないという結果にたどりつきました。キャンパーと触れ合いながら時間を過ごす中で、言葉を超えた深い次元においていのちは一つであり、そこには何の分節もないことを身体で感じたからでした。ことばに規定できないものの存在を実体として感じた結果、それを自分が持っ

    • 潜在意識の声を聴く人々

      『潜在意識の声を聴く人々』 アクリル絵具、布 2000×1,000 2020年6月 「佐々木めばえ展 生命の森」展示中 "People perceving the subliminal voices" Acrylic on Fabric 2,000 × 1,000 June, 2020 Exhibiting in a solo exhibition "The forest of life" 〇オンライン個展〇 展示中の作品を投稿していきます! 同時に今まで書いてきた日記や

      • 怒りと祈りー痛みを紐解くとたどりつくもの

        幼い頃に経験した「痛み」が、世界に対して働きかけるエネルギーとなる。その痛みを克服するための、社会への抵抗としての原動力が私の中にずっとあった。 *** 去年の夏の終わり。自閉症の方専用のキャンプでの仕事が終わりアメリカから帰国してから、胸の内で何かが大きく変容していくような感覚を感じた。カウンセラーの業務と飛行機の移動で疲れてエネルギーがなくなったのかなと思ったけど何か違う。しばらくの期間、何が起こっているのか言語化できなかった。 言葉にするのに時間がかかったけれど、

        • 生の記憶について―20190714日記より

          自分を描いた。 佐々木めばえ。人間。 真正面から自分を見ないと、描き上げられなかった。 描きながら、今まで生きてきた中で受けてきた愛が、走馬灯のように胸に流れて来た。関係を表す一般的な概念では説明しきれない関係を築いてきた人たち。愛おしい人たちの笑顔、まなざし、共有した時間と温度。幼い頃の記憶、思い出す度に身体が包まれるようなあたたかさを感じる想い出。悲しかったこと切なかったことやるせなかったこと。思い出すと心が痛む、自分の弱さゆえに人を傷つけてしまった後ろめたさ。今まで

        Story of my life 前編

          「調和」と「不調和」を感じるセンスを持ったキャンパーとの出会い―キャンプ第1週目を振り返って

          第1週目が終わった。大きな大きなテディベアみたいな姿をした彼は、私の心にものすごく大事なことを残してキャンプを去っていった。彼と過ごした1週間が終わった今、教えてもらったことを心にちゃんと残しておきたいから、言葉にしてみようと思う。 【感情の幅を揺らす光と影の因数分解について】 32歳になったばかりの彼は、音楽が大好きだった。特に1950年代の音楽が大好きで、私が歌を歌うとボイスパーカッションみたいに口でリズムを刻んでくれた。不機嫌な時、心地よくない時は足踏みをして音を立て

          「調和」と「不調和」を感じるセンスを持ったキャンパーとの出会い―キャンプ第1週目を振り返って

          割り切れない「余り」のある問いを―2019年05月29日|日記

          相手の名前を知っていても、「あなたの名前は何?」と聞いて回る女の子に出会った。彼女にとっては、それが「こんにちは、元気?あなたに会えてうれしいよ」という挨拶なのかもしれないし、同じことを聞くことで安心したいのかもしれない。スナップが大好きで、耳の近くに手を押し当ててスナップを聞くことで心を落ち着かせているように見える。 ***  今は研修中で、自閉症やTEACHHやABC等の認知行動療法についての講義を受けるのと同時に、ベテランのコーチにアドバイスをもらいながら自閉症のある

          割り切れない「余り」のある問いを―2019年05月29日|日記