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好きなもの解説日記④〜まさかジープで来るとは/せきしろ×又吉直樹

この前キャッチをシザースでかわした。


結果はもちろんかわした。
置き去りにした。

「お兄さん!居酒屋探してませんか!」

シュッ!シュッ!(シザース)

「ち、違いましたかね?」

ってなった。
もう俺についてこれてない。
隣の兄は大爆笑してた。


そこで
「それ試合でやれよ!」
って言ってくるキャッチなら自分はお店に行ったかもしれない。


まあ、なんにせよキャッチをかわすならシザースが1番いい、という持論だ。



自分はもっと持論がほしい。
なんか、あるとかっこいい気がする。
って最近思い始めた。


とりあえず今自分が所有している持論はこのシザース一本だ。
こんなんじゃ全国どころか、試合にすらでれない。


自分がもしも誰かの師匠なら。

俺:お前にこの技(シザース)を教えよう。

弟子:はっ!
       シュッ!シュッ!(シザース)

俺:...お前に教えることはもうない。


ってなる。
少なくとも俺に親がいることが申し訳ない。
突然変異で発生したダサ坊ってことにしてほしい。


でも久しぶりに会った兄は笑ってくれたから、兄弟だなっても思う。
持論ほしいなあ。



好きなもの④
〜まさかジープで来るとは/せきしろ×又吉直樹〜

自由律俳句というジャンルの文学があります。

本来、五・七・五での十七音で、季語を入れて情景や心情を表す俳句。

それを定型の制約をなくし、その名のとおり自由に詠む俳句です。

有名な自由律俳句には

咳をしても一人
尾崎放哉

があります。
この短さの中に色々な情景や心情が溢れでて、読み手の想像を掻き立てるのは自由律俳句の面白さの一つだと、思います。


今回解説させて頂く「まさかジープで来るとは」は、せきしろさんと又吉さんのお2人で創作した自由律俳句の本です。



その中には自由律俳句がたくさんあって、全部面白いんですが、特に好きだったのが、


流れるプールと兄弟が戦っている
まさかジープで来るとは/せきしろ×又吉直樹




です。
兄弟バカだな〜っていう情景が可愛いらしく詠まれてます。
戦う必要もない、というよりそういう風に作られていない強大な敵と兄弟は力を合わせて戦います。兄は弟を助けながら、弟は兄に必死でくらいつきながら。

負けねぇ!とか言って。
あ、戦ってるんや〜って。


もっと悪い敵は他にいっぱいいるやろ。てか普通に周りに迷惑やで。
宿題やってない顔やな。そのスイカのボールはお母さんに預けてきた方がいいやろ。
とかもうたくさんツッコミたくなるくらいバカなこの兄弟の様子がこの短い文でめっっちゃ伝わる。
なんならこれを読んだ又吉さんの様子も伝わる。


第三者の大人になった又吉さんが、全力で夏休みに身を投じている子どもを、距離を置いて見守っているからこそこの温度差がでてる。

冷たい大人と、熱い子ども
でも正直やってたわ〜ってなる。
もう戻れない時間が流れるプールの中にあって、その中でみんなの代わりに戦っている兄弟と昔の自分を重ねてしまう。兄ちゃん元気かなーって。
そういえばあの時兄ちゃんはなんで流れるプールと戦おうとしたんだろう。
終わった後の、「くそ!つよすぎ!」
って負けてんのかいってなったなーって。

この自由律俳句が自分はとても大好きです。


佐々木

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