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ルヴァン杯準々決勝第2戦:気持ちよく壊された先入観

2019年のルヴァン杯準決勝でボランティアに入って勝ったので、今回もそれにあやかってボランティア(MSS)入り。そして今回も勝ちました!ただ第1戦目で夢がほとんど大破された状態でというのは想定していませんでした!前の日記で「今年は消化試合がない」と書いた途端にこれだよ何の呪いだよ!もう迂闊なことは書きません。

MSS入る日は開場1時間前までにドーム集合なので、前日あまり遅くまでも起きていられないなと思うところですが、当日の午前1時過ぎまでパリパラの車いすテニス男子決勝を見届けてしまいました。

東京大会に比べると圧倒的にテレビ放送が少なくまた時差もキツく、パラ見ようとしたら公式のYouTube配信(当然解説は英語、または下手したら無音)見るしかなかったので「見たい気持ちはあるけど腰が上がらない」状態でしたが、車いすテニスの女子ダブルス決勝から急遽Eテレで生中継という情報をThreadsだったか配信のコメント欄だかから得て、以降決勝の3試合を全部リアタイテレビ観戦。

試合内容もさることながら国枝慎吾さんの解説、冷静に戦況を伺いながらポジティブな言葉を選んで、でも(スポーツ中継にありがちな)無責任な能天気さではなくて、彼にははっきりと見えているであろう試合のアヤと勝機を淡々と言葉にしていく感じがとても心地よく、何を言っても脳内メモしておきたい金言だらけだったのでそれを聞きたかったというのもありました。ただ女子決勝のマッチポイントの時「何を言ってくれるのか」と期待したら「そこからしばらくの間無言になってしまい肝心の金メダルの瞬間も実況の澤田アナひとりがたり」という予期せぬ展開に。尤もそれで貰い泣き待ったなしでしたが。

https://plus.nhk.jp/watch/st/e3_2024090733167?t=11552&playlist_id=d7267c5c-5953-4374-90f4-5768431d70c6

国枝解説も楽しみに見た男子決勝は、今度は試合そのものに圧倒される自体に。NHKプラスで15日まで見られるから、192分あたりからでいいので見れる人見てほしい…。私のようなゴール裏サポは自軍の選手の煽りは大好物だけど、マッチポイントを握られた展開であんなふうに煽れる選手がいることはさすがに想像出来なかった。

9歳で病気のため車いす生活になり、車いすテニスを始めたあとにも二度の癌の肺転移があったという小田凱人さん。ハンデのある選手の、という先入観を根底から破壊されるような、パラ関係なくスポーツの試合としてただただすごいと思える試合を見た興奮した頭で迎える翌日のサッカーは、そこにもまたひとり、おそらくはたくさんの先入観を壊し続けている選手の復帰がありました。

うまく撮れていない

深井さんの復帰試合なのにボラ入れてしまった大不覚。しかしこれもなにかのさだめ。やることはやる。パラ見たあとだと高齢の方を含めてなにかしら体の不自由な方が特に目につく。一度に全部の人を助けることはできないけど、自分が出会った人には手助けになることができればと思った。それもボランティアの役目。

場内で席案内しながらピッチ練習も目に入ったり入らなかったりだけど、時々スクリーンで深井さんが楽しそうにアップしてるところは確認出来た。選手入場時には前回の試合とおなじように、スタジアムのいろんな場所から立って選手を迎えるお客さんの姿も目に入った。あれは、いいですね…

今日も休憩は試合観戦。今年いつもそこにいたベンチ外の選手のいる場所に深井さんはいない。感慨深い。でも前半は見てて寝そうになった。5点取らなければいけないというのに先制点を許したので「あと6点か…」と一応真剣には悩んだ。思考停止して眠くなったのだと思う。

ハーフタイムのゴミ片付けを終えてふたたび休憩に入ると、その移動の途中で栗谷さんのゴールアナウンスを聞いた。おっ追いついた。さらに菅ちゃん2得点目で逆転ゴール。菅ちゃんのプロ入り後全ゴールのうちマリノス相手は何割を占めるのだろう。→目下18得点中6得点 3割!?

喜んでいると今度はベンチの動きにメインスタンド上方がざわつく。一部もう拍手が湧いてる。普段のようにゴール裏で応援しているときは見えない、ピッチに向かう8番の背中をそれはもうずっと堪能してた。交代でピッチに入る時の選手席からのそれは力強い拍手の音。自分も関係者席ながら立ち上がって拍手を送った。

しかし交代は83分で、MSSは85分には最後のゴミ片付けのために休憩を終えて持ち場に戻らなければいけない。私が見られたのはほんの2分間のプレーだった。でもそれで十分だった。1年間試合に出られていないのに、「いてほしいところにちゃんといる」いつもの深井さんを確認出来たから。周囲を何度も見渡して指示を出して。誰にでも出来ることじゃないことを出来る宮澤、大崎、そこに深井。戻ってきたね。

90分を過ぎて今日もまた長く響く歓声が聞こえてきた。ジョルディが決めてた、それは良かった。MSS仲間と喜びながら「あと3点」「1分で1点」一応諦めない。ですがさすがに1分で1点を取ることは難しかった。2分で2点を取られるのは簡単なことなのに(突然の毒

人生を半世紀以上生きていると、どうしてもある程度は経験に基づく先入観が培われてきてしまう。それがいい役目を果たすこともあるし、そうでないこともある。先入観が壊れたときにはじめて、あ、わたし先入観持って見てたって気づくようなところもある。そして先入観が壊れると心の窓がひとつ開いてまた何か信じようって気持ちになる。そういう意味で車いすテニス男子決勝からのルヴァン準々決勝は、次々と先入観を気持ちよく壊された、またひとつスポーツ観戦から得られた心の記念バッジになってとてもきらきらとしてる。

活動を終えて控室を出ると、ドーレくんとふれあったらしい小さな子どもちゃんの声が聞こえた。
「ドーレくんね、すごくかわいかったの。あんなにかわいいなんておもわなかったの!」
ドーレくんさんよかったねってなんかもうとても平和な気持ちになった。
あのお子さんのドーレくんへの先入観もきっときれいに壊されたのだろうな。

きらきらとした魚を食べて帰宅した 狸COMICHIのにせんべろセット、いいですね…


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