ある日突然大腸ガンになってからの徒然日記vol.3
突然のガン告知から大学病院での1回目の手術、その後の抗がん剤治療、さらに自分のガンのまさかの特性。そして現実を突き付けられた会社の対応等、同じ様にガンで頑張ってる人や、同じ様に普段健康であまり自分の身体のメンテナンスをしない方へ少しでも励みや参考になって貰えればと思って素人の大腸ガンサバイバーが書いてます。
月1程度で今までの奮闘日記を残して行こうと思ってますのでよろしくお願いします
《手術~目覚めてICUへ》
手術当日の朝。
うん。思ったよりもちゃんと寝れて変な緊張も無く穏やかな感じ。
前日に看護師さんから
「朝一番の8:30から手術の予定なので、8:00には手術室の看護師が迎えに来ます。」
そう言われていたので、嫁には7:50頃に来てくれるように連絡済み。
今回お世話になってる病院では、手術の場合は家族の人は連絡が取れるように病院内で手術が終わるまで待機していて貰うのがルールなんだとか...
↓
これってだいたいどこの病院でもそういうものなんですかね?いかんせん大学病院の入院も初めてなら手術も当然初めてなわけで比較の対象が無いので分からない...
どなたか違うケースの場合教えてください(笑)
ただね...病院内で待つといってもこの当時、コロナの真っ最中だったんです。
平常時なら病院の食堂がオープンしていて、そこで大体の御家族がお茶したり雑誌読んだりしながら時間を潰してたみたいなんですが、なんとタイミングの悪い事...
不特定多数の出入りがある食堂は閉鎖。
辛うじて1階ロビー横にあるちっちゃなこコンビニで売ってる雑誌を購入して、手術室の前で手術がいつ終わるかも分からない中で時間を潰すしかない状況...
いや、ほんと、ありがとうございました...。
申し訳なさと同時に感謝です。
って思ったら、後から聞いた話ベンチで寝てたと....
しかも看護師さんに1枚タオルケット掛けてもらったそうで。
良く寝れてたようで何よりです(笑)
予定通り8:00に手術室の看護師さんが迎えに来てくれて、身なりと名前の確認をした後、嫁と合流していざ手術室へ。
手術室の看護師さんが迎えに来たら今まで無かった緊張が一気に湧いてきて、そんな俺を見た嫁まで変な緊張に包まれてエレベーターの中が妙な緊張感に...
「大丈夫?頑張って」
『大丈夫。行ってきます』
結局手術室入る前に交わした会話はこの程度。
今思えばもうちょっと何かあったでしょとは思うけど、当時はいっぱいいっぱいだったんだと思う。
曇りガラスで中が見えない自動ドアが開いて、看護師さんに促されて一緒に中へ。
扉が閉まると看護師さんが打ってる電子カルテのキーボードの無機質な音が妙に大きく聞こえる中で。
「そこの帽子(使い捨ての髪の毛を入れる食品工場で被ってるようなやつ)で髪の毛全部入れてください」
画面を見ながら看護師さんが指示をくれる。
内心、「もうちょっと人間味ある感じで言ってくれてもいいのになー」なんて思いつつ言われた通りに帽子を被ると、
「お名前と生年月日教えてください」
『ささかま(名前)で1977年10月17日です』
「はい。ささかまさん今からお部屋に案内しますね」
って感じで淡々と歩き出す看護師さんに付いていくと、思いのほかいっぱい部屋が並んでてやっぱりイメージと違う(笑)
そりゃそうか。手術出来るのが1人だけなわけないもんな。
その中で1番奥の、扉が半分ほど開いてて、中で数人の看護師さんや先生らしき人が動いてる部屋に案内されて中に入る
中に入ると外からは見えない位置に居た自分の担当医が
「ささかまさん おはようございます。よろしくお願いしますね」
って声掛けてくださって、なんか完全アウェーを感じていた手術室で知ってる顔見つけてホッとしてる自分がなんかお子様だなーなんて...
それくらい不安だったんですきっと(笑)
しかし、初めて入った手術室はそこはイメージ通り緑1色で、色んな機械がそこ狭しと並んでてやっぱり無機質な感じ。
たぶん既に5、6人のスタッフさんが居て準備で色々と動いてたはずなんだけど、今思い出してもそこの思い出って【無音】なんですよ...
何かしら色々と音とかスタッフ同士の話し声とかあったはずなんですけど、思い出すと音が全く無い記憶しか出て来なくて、ただ妙に空気だけがヒンヤリしてて...
例えるなら、子供の頃初めての歯医者で歯を抜く時の緊張感の100倍くらいの緊張感(笑)
そんな緊張をよそに1人の看護師さんから
「頭をこちらにして上を向いて横になってください」
と、手術台へ促される。
言われるがまま横になると心電図や血圧計やら色々と装着。すると、
「麻酔科医の〇〇です。今日はよろしくお願いします。背中に麻酔するんで背中をグッと丸めて横向きの体育座りみたいな体勢してください。」
背骨の辺りに麻酔をするって事で凄く痛いのを想像して妙に力が入っちゃったけど、拍子抜けするくらい特に痛みも無く無事終了。
「ささかまさん、お名前と生年月日と今日の手術の内容言えますか?」
『ささかま(もちろん実際は本名(笑))1977年10月17日。直腸ガンの手術で人工肛門になる手術受けます。』
「はい。それでは今から麻酔するので気持ちを楽にしてくださいね~」
ドラマでよく見るマスクを口元に当てがわれ、いよいよ麻酔かーってドキドキ。
全身麻酔が初めてだったので、実際に麻酔をされるとどんなものなのか。
どこまで抵抗して意識を保っていられるのかってちょっと頑張ってみましたがいやいやとんでもない(笑)
あっという間に記憶が飛んで、どこまで起きていられたかすら分からない即効性。
当たり前なんだろうけど、全身麻酔って凄い(笑)
「ささかまさーん、わかりますかー?」
次に記憶に残ってるのは、周囲がザワザワしてて自分に話し掛ける声....
『はい...』
「終わりましたよー。お疲れ様でしたー」
看護師さんが自分の服や機材のコードなどを忙しく処置していると、執刀してくれた主治医の先生が自分の顔を覗き込んで
「お疲れ様です。これからICUに移動してもらって数日そこで経過観させてもらいますからね」
正直言って麻酔から覚めたばかりで頭がボーっとして、何を言われても
「あ、そうですか」
くらいにしか思わなくて、とりあえずベッドごと移動。
その途中、手術室から出たとこで嫁が居てくれたのはわかったのだけど、何も言葉を交わすことなくそのままICUへ入室。
ICUの看護師さん達が忙しなく体温の測定や血圧測定。さらに心電図の付け替え、あと両足に空気圧で伸縮するマッサージ機みたいな物を装着されます(エコノミー症候群予防の為の大事な装着なんだそうです)。
そんなされるがままの状態の時に主治医の先生が
「とりあえず取れるだけは取りました。ストマの方も予定通りの位置に作れたし、塞いだ箇所も綺麗に出来たので今日はゆっくり休んでください。お疲れ様でした。」
それを聞いて大事な事を思い出す
「そうだ!!手術終わったって事は俺って人工肛門になったんだった!!!」
って一気に麻酔から目が覚める思いがしたけどまだ頭をあげて覗き込める状態に無いので、実際に自分の目でストマを確認出来ていないからイマイチ実感が無いけど、手を伸ばすと確かにそこに袋状の物が肌に密着してる....
あぁ....後戻りの出来ない、今後一生のお付き合いとなる人工肛門に間違いなくなったんだなぁと....
同時に手術前の便秘と血便の辛さから開放されたという安堵感もあったけど、でもやっぱり今後の日常生活に対しての不安もあったりと、なんとも説明のしようがないくらい複雑な気持ちだった事を覚えてます
そんな今後の自分を想像しつつ少なからずショックを受けていると、ずっと待機しててくれた嫁が入室してきて
「どーですか?お疲れ様。先生に切り取った腫瘍見せて貰ったけど、凄かったよ....あーやって家族に見せるものなんだね(驚)」
この頃には少し頭もシャキッとしてたので少しはまともな会話が出来るようになってて
『見たの??それより何時間待った?』
手術が終わったのが何時かも分からず、朝の8:30から始まった手術が何時間掛かったのか気になって聞いてみたら
「今17時ちょっと前だよ」
なんとなんと8時間以上も掛かったみたいで....。
麻酔で意識が無くなって、次に目覚めたら手術が終わってた自分からするとちょっとしたタイムワープ...。
『8時間以上も待機は疲れたでしょ。もう大丈夫だから帰って休んで』
「先生から話あるって言われてるから、それ聞いたら帰るね」
『何かあればLINEでもするから』
そう会話を交わすと嫁は退室。
少しづつ痛みが出始めた患部を気にしていると看護師さんが
「痛みは我慢しなくて良いですからね。痛み止め使えるんで遠慮なく言ってください」
なのですぐさま
『痛いです(笑)』
「背中に入ってる麻酔のポンプ押すと楽になるので押しときますね。けどこれ1回押すと30分は使えないので自分で押さずにナースコール押してくださいね」
そう言ってあまり身体を動かせない自分にそっとナースコールを握らせてくれてました。
「今日は夕飯も出ないですし、看護師が定期的に経過観察に来ますから眠かったら寝ちゃって良いですからね。時々起こしちゃうかもしれませんけど。」
不思議ですねぇ、今まで麻酔でとはいえ手術中寝てたわけだし、時間だってまだ18:00なるかならないかくらいで、そんなに寝れるもんじゃないと思ったんですが...
「ささかまさーん、ちょっと体温測りましょうね」
って声で目が覚めるまで見事に記憶が無くて、完全に寝てたみたいです(笑)
聞けばもう20:00だとか...
なんでも大体4時間ごとにバイタル(主に体温、血圧)計測しに来るとの事....
早い話が寝てても4時間ごとに起こされるっぽい感じ?(笑)
手術当日の夜はそんな感じで、朝まで寝たり起きたりを繰り返し今までの人生で(この時点では)1番長い夜でした。
カッコでこの時点ではと書いたのは、後々もっとしんどい事が起きるとはこの時点でわかるはずも無かったからです...
でもICUの看護体制は心強かったです。
もちろん集中治療室だから当然なのはわかるのですが、ちゃんと看護(みまも)られてる感が凄く安心で、手術後色々と自分の身体が不安でしたがきちんと説明もしてくれてこの場を借りて看護師さんへ改めて感謝の気持ちを書かせてもらいます。
【本当にありがとうございました】
2日目になると手術後の痛みが本格化してきて、この痛み消える事ないんじゃないかってくらい痛くなって...この部屋(ICU)から出る事出来ないんじゃないかって心配になるくらい動けませんでした...。
早く一般病棟へ移りたいなーなんて思ってましたが、この時点ではまだまだ無理なんだろうなぁって思ってました....
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?