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形態のでき方

何かが徐々に結集して形が見えてくる。
形はもちろん形だけでできているわけじゃない。最近の造形は映像信仰の概念ですっかり面白く無くなっている。

天使は僕らの様な曖昧な被造物よりもずっと硬い。それは塩辛い性質が、苦い、酸っぱい性質を乾かして薄く甘い源水がそれを穏和にして造られる僕らよりも純粋な神の被造物だからだとベーメは言っている。
絵はほとんどこの天使を描く作業だろう。天使は被造物だと言う事は基本的な知識として知っていた方がいい。ヨーロッパ圏ではおそらく日本人が考えるよりもずいぶんと具体的なものだと思う。ベーメがいうのは塩辛い性質が他の性質を乾かして形態を作りそれが被造物になるという事なので、絵の形ももちろんのこと、写真で写した様な形だけからできているわけではない。当たり前を繰り返すけれども、絵の魅力は、絵に色々なものを感じて、現実より確かなものが形となってそこに在るからだ。

ある性質だけが突出したり、過度に点火されると甘い水まで乾き切ってしまいそこには熱くなった鉄の様な暗い憎悪だけが残って被造物は敗壊する、そのことが創造の初めに大天使ルシファがやったことだと、ベーメはこのルシファとタイマンを張っている。そして人類はこのルシファをいつも味方につけてきているという。

形態について、現代の僕ら一般よりも中世のヤーコプ・ベーメは、はるかに柔軟で豊かな認識をしている。現代の人から彼を見た時には神秘主義と評されているけれど、僕らよりはるかに具体的な現実を伝えている。

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