マイノリティの靴。

新しい靴を買った。
いままでは量販店で買っていて、選ぶ基準も「価格≧デザイン>機能」だったのだけれど、今回は百貨店の紳士靴売場に行き、シューフィッターの方と相談しながら自分に合う靴を選んだ。

12月になり賞与をいただくことができたというのもあるけれど、これには理由がある。

実は、私は足のサイズがすごく小さくて(今回きちんと測ってもらったら23.5cmだった!)おまけに偏平足である。男性用の靴は24.5cm~というのが多くて、サイズが多少大きくてもインソールをいれてやり過ごしていた。もともと小さい足が余計に小さく見えるのが嫌で「大きく見える」靴を選んでいたというのもある。誰も私の足のことなど気にしないのだけれど。
それが、今年の夏に左足が足底腱膜炎になってしまった。経験したことがある方はわかると思うけれど、足底腱膜炎は痛みも強いし症状が悪化して歩くことにも支障が出ることもある。それはさすがに放っておけないので、靴選びを見直すことにしたのである。

はじめは、補正靴の専門店か多少お金がかかってもオーダーメイドで一足靴を作ることも考えた。実際にそういったお店に足を運んでお話を伺ったりもしたのだけれど、あまりに考え方がスピリチュアルに偏っていたり、知識のないひとを見下す上から目線な態度だったりが嫌で見送ることにした。彼らが健康に対して真剣に考えているのはよくわかるのだけど、臆面もなく「歩き方と犯罪歴には相関関係が……」とか「精神疾患も足のゆがみが原因で……」と言うのには正直、引いてしまった。たとえそれが事実かもしれなくても、目の前の人間がメンタルヘルスに深く関わっていることもあるのである。そういうとこやぞ
この話はもうやめよう。

最終的には百貨店に行って足のサイズを測ってもらい、シューフィッターの方のアドバイスを参考に何足か試し履きをしたり、インソールを調整してらったりして納得する靴を選ぶことができた。実際の足への影響は履き続けてみないとわからないけれど、大切に使おうと思う。

☆☆☆

「日本で売られている靴は、足への健康面は二の次になっている」ということは前々から耳にしていたけれど、実際に自分が経験してみてそれが痛いほどわかった。それと同時に、そういった影響は、私みたいにサイズが極端に小さいとか偏平足であるとか、ある種の「マイノリティ」ほど大きいのかもしれないとも思う。

労働をはじめとして社会がマジョリティを中心にデザインされていることは常々思っているけれど、靴の世界もそうだったんだなと気づいたし、社会同様にインクルーシブになっていけば嬉しいな、と思う。
とにもかくにも、健康は足元からである。

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