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第五章 夏の始まり #04夢追い人

勉強を教えてもらうってことで来た訳だけど、何となく高田さんにその気がないことは感じていた。昔から勘は良い方だと思っている。ただ、それを態度に表す訳にもいかないので、いつどうやって勉強道具を出すか様子を伺っていた。とりあえず何かしゃべらないと、、、「本当に漫画描いてるんですね。」まずは私から声をかけてみた。「いや、本当に描いてるよ。嘘だと思ってたの?笑」「そんなことはないですけど。笑」「見る?」「え!見たいです!」

身近に漫画家なんかいないし、これは本当に見てみたかった。恥ずかしいんだけど、と言いながらも封筒に入った漫画の原稿を見せてくれた。正直、漫画はあまり読まないし詳しくないけど、普通に上手だと思った。というか、高田さんのチャラチャラした見た目と漫画の上手さが全然一致しなくて頭が混乱。でも、そのギャップにさらに好きが増した。そこから、高田さんは漫画に対する熱い想いを語ってくれた。漫画家を目指して東京に出てきたこと、少年ジャンプでの連載が夢だということ、親には30歳までに売れなかったら田舎に帰って就職しろと言われていること、スラムダンクのように沢山の人に夢と希望を与えられるような漫画が描きたいということなど。やっぱり夢を追ってる人って魅力を感じてしまう。

「ひろちゃんさ、今日話そうと思ってたことがあるんだけどさ。」そうやって突然、彼が言った。「え、なんですか?」とてつもない緊張した空気が部屋に充満した。

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