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第二章あの頃 #02内藤くん

好きな人がいる、というだけで急に毎日が楽しくなる。恋は偉大だ。内藤くんは、高1の時に同じクラスで高2になってクラスが分かれてしまったのだけど、すれ違えば挨拶するくらいの仲だった。バンドをやっていて、ギターが上手だった。しかも部活はバスケ部。運動もできて、音楽もできる、しかも優しい。完ぺきだ。親友のユウコにだけは、好きな人のことを話してたし、相談していた。ちなみにユウコは、いつも電車で一緒になる先輩のことが好きで、ついこないだ先輩が降りる駅のホームで待ち伏せして告白して付き合うことになった。その積極性見習いたい。私も勇気を出して内藤くんにメアドを聞いて、たまにメールもしてた。なんでメールを待つ時間ってあんなに長く感じるんだろう。でも、そのドキドキも楽しいんだよね。

ユウコと廊下でしゃべってると、内藤くんが通りかかった。ユウコと目があって、明らかに(がんばれ!)と言っている目をしている。勇気を出して、「あ、内藤くん。」と声を振り絞った。そしたら、「あ、佐藤さん。今度ライブするから、良かったらきてよ。忙しいかな?」と内藤くんが言ってきた。え!まじか!そりゃ行くでしょ!と言いたい気持ちを抑えて、「そうなんだ。予定確認して行けそうだったら行くね!がんばってね!」と冷静を装って言うと、「おう、ありがと。」と言ってチケットを渡して去っていった。「やったじゃん!行くしかないでしょ!」ユウコも応援してくれた。ギターを背中に背負って歩く内藤くん、やっぱりかっこいいなぁ。

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