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7. 釈然としないPET-CT退院予定

 十二指腸の水平脚に約4cm(この時点で)の腫瘍があり、管が非常に狭くなっている。食事後に腹痛や背中の痛みが増すのは、狭い所を通過する事が原因と考えられる。 癌の進行で閉塞の可能性がありステントも考えられるが、後に手術することを考慮すると今は避けたい。閉塞してしまった時は、今回作成したポートから高濃度の点滴を入れる事も予定する。
 外科の先生より今のままでは患部が大きすぎて手術はできないとのことで、先に化学療法を実施する予定。3クールほど実施して、評価。その後手術を検討するとのことだった。腫瘍は深く、腫瘍の縮小とともに腸に穴が開く(腸管穿孔)こともありうるため栄養は鼻からチューブで患部の先に注入する予定。
 ということで、少なくとも2ヶ月以上の入院治療が確定した。その後手術したとしてもそれから1ヶ月位の治療が必要らしい。職場に連絡した。全身の癌の様子を把握するためPET-CT を近くのセンターで受けることも提案され了承した。この検査は自己負担ベースで検査費用は一回3万円クラスだが、3ヶ月後位には高額医療で返金になる筈だ。

その検査のために、一旦退院して検査を受け、再入院という話だった。???

 はじめはその意味するところがわからなかった。実は以前の早期胃がんの際にPETを受けたことがあったが、その時は入院前に受けたのでわからなかったのだが、

● 包括請求をする病院に入院中に、PET-CT等 他施設の検査を受けると保険が効かない。

らしい。この検査は10万円以上するので、一旦退院して、検査し、再入院という手続きをとっているようだ。僕は流動食を摂取できているから可能という判断だ。
 メールで連絡を取り合っている家族と、参ったねというやり取りをした。これまで苦しくて散々苦労して、やっと入院加療にたどり着いたのに、遠くの自宅で数日過ごし、PETのセンターへ往復する気力がない。この痛みや不調の中自宅でどうやって過ごす? どうやって通う? 病院のすぐ近くの検査施設への往復。入院したままで福祉タクシーを使うとかで、なんとかならないかなあ。

恐々としている中、日に日に僕の流動食摂取量が減っていき、便もガスしか出ない、そして、ある日、・・・嘔吐した。

 癌の進行が意外と早く、腸管がほぼ塞がってしまったのである。嘔吐の際には、ものすごく苦しんだ。ものすごく苦しんだが、頭の片隅で、「退院しなくてすむ!」と心がつぶやいた。

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