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投資するならどこの国?資産運用のプロが各国の株式市場の見通しをザックリまとめます!

こんにちは、ムササビ親分です。

実は私、2019年2月からTwitterをやっていまして、おかげさまで少しづつフォロワーも増えてきた今日この頃です。

そしてこの度、なんとめでたくスリーセブンを達成しました!

この記事はそんな「Twitter777人突破特別企画」の第一弾です。

お題もTwitterで募集しました。

ありがたいことに、ちょうど2つの企画をいただいたのでそれに全力で応えていきたいと思います。

まず最初の企画はこちら!

資産運用のプロを自負する私にはうってつけの企画!
いちさん、ありがとうございます😊

さすがに全部を詳しくやるとシャレにならないボリュームになるので、ご要望通り、米国、欧州(ユーロ圏)、中国、インドへの投資を考える上で、「今から投資した場合、10年後はどの国・地域のパフォーマンスが良いのか?」という観点から、そのポイントと私の考え方をザックリまとめたいと思います。

◆まずは基礎情報の確認

まずは、各国・地域の将来の株価を見通すうえで、絶対欠かせない基礎情報から見ていきましょう。

株価と実質GDPの推移

上段は過去の株価パフォーマンス、下段は過去の経済成長と将来の経済成長予測です。

上記から読み取れることは無数にありますし、投資スタンスによっても重視すべきポイントは異なりますが、ここでは、「10年後のパフォーマンス」という観点から4点ほど特筆したいと思います。

①リーマンショック後はアメリカがぶっちぎりのパフォーマンスだった
②中国の暴落は規模も大きく頻度も多い
③株価と実質GDP成長率はある程度連動している
➃来年以降はインドの実質GDP成長率が最も高いと予測されている

③と➃から「じゃあインドでしょ!」となりそうですが、実はそう単純な話ではありません。

もちろん、パフォーマンスを予想する上でその国の経済成長を見通すことは非常に重要ですが、このデータは基礎データであり、誰もが重要と認識している情報であることから、これらの情報そのものはすでに現在の株価に織り込まれてしまっています。

このため、将来のパフォーマンスを予想するなら、こうした情報を基に以下の3点について考察する必要があります。

①今後10年、各国・地域はどのような経済成長を遂げていくか
②それに対して、マーケットの期待感はどの程度か
③10年後、①を経てマーケットの期待感はどのように変化しているか

それでは、上記の考察を行うためにもう少しデータを追加してみましょう。

人口の推移

これまた基礎情報である人口データです。人口データの何が凄いのかと言えば、その国の経済成長に大きく影響する超重要ファクターでありながら、長期の将来予測ができることです。

このデータについても私が考える重要なポイントを挙げたいと思います。

①2023年にはユーロ圏が、2032年には中国が人口減少国になると予測されている
②インドの人口増加率は先進国並みにまで減少してきている
③米国の人口増加率の減少は比較的緩やか

「インドは人口増加が目覚ましい」というフレーズをよく見るので意外かもしれませんが、実は“増加率”のピークはとうに過ぎており、足下では世界水準を下回っていることが分かります。

このことから、これら各国・地域の今後の経済成長は「一人当たり実質GDPの成長率」、つまり、インフラ整備や設備投資、技術革新といった生産性の向上がカギを握ると考えられます。

ここでは、成長率の伸びしろを確認するため、一人当たり実質GDPの水準そのものに着目したいと思います。

一人当たり実質GDP

単位が見慣れないと思いますが、実質GDPを計るためのものであることさえ理解できれば問題ありません。

当然のことながら、新興国である中国やインドは先進国から技術や仕組みを取り入れるだけで大きな成長が期待できるわけですから、その差は縮まる見通しです。

また、水準的には依然として大きな差があることから、その傾向は当面続くと考えられます。

そして、最後のデータとしてマーケットの期待感(バリュエーション)を示す指標である“PER”を確認してみましょう。

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このデータのポイントは主に2点だと考えます。

①過去平均に比べて足下は各国・地域共に割高水準であり、特に、2020年11月末はコロナショックの影響で当期予想利益が大きく下方修正されたことから、さらに割高水準になった。
②先進国よりも高い経済成長率を誇る中国とインドであるが、世界と比較して中国は割安水準、インドは割高水準と、全く逆の立ち位置である。

さて、これで将来のパフォーマンスを予想するうえでの最低限のデータは揃いました。

ここからは各国・地域ごとに個別でコメントしたいと思います。

◆インド株式市場の見通し

まずは、今後10年で最もパフォーマンスが期待できると見ているインド株式市場からです。

結局インドなのかい!って感じですが、インドの成長ストーリーは「インフラ整備や設備投資、技術革新による生産性の向上を背景とした経済成長の加速」です。

すでに確認したとおり、今後インドの人口増加率は急速に落ちていくため、世間一般が抱くインドのイメージ「人口増加による経済成長」はそこまで期待できません。

しかし、私はむしろ「やっと人口増加に頼らないステージにきたか」と大いに期待を寄せています。

要するに、今のインドは「とにかく子供を産んで労働力を増やす必要がなくなり、労働生産性の向上によって生活を支えることができるようになってきた」ということです。

「14億人を抱える国の生産性が急加速する」

それが今後10年間のインドだと考えています。

その他、インド株式のパフォーマンスに大きく影響するポイントをザっと挙げます。

・モディ政権による経済政策
・自国の経済成長の恩恵をインド企業が十分に享受できる産業構造(新興国にありがちな資源の輸出に頼った産業構造でないこと)
・生産性向上のキーセクターであるITが盛んであること
・海外資金が流入しやすい整った金融市場

これらのポイントは今後のインド株式のパフォーマンスに大きく貢献してくれるでしょう。

一方で、インド株式は他国と比較してバリュエーションが割高水準にあることには留意する必要があります。しかし、ここまで述べてきた通り、ハッキリ言ってそれだけの理由があるため、インド株式のみバリュエーションが切り下がることは考えにくく、世界株式を大きく上回るパフォーマンスが期待できると見ています。

◆中国株式市場の見通し

次にパフォーマンスが期待できると考えているのは中国株式市場です。

中国株式の成長ストーリーは「金融市場の透明性の向上による、割安に放置されたバリュエーションの切り上がり」と「中国企業の世界進出による経済成長の加速」です。

これまで、長期にわたり世界株式を大きく上回る経済成長を遂げてきた中国の株式が割安水準で放置されているのにはもちろん理由があります。

・株式市場が非常に不安定(暴落の規模が大きく頻度も多い)
・政府の力が絶大で、企業業績が政治の影響をもろに受けるため企業分析の精度が落ちる
・政治の影響は経済指標にも影響を及ぼし得るため、そもそも、前提となる経済指標の信頼性が欠ける

要するに、「成長性は高そうだけど色々ときな臭くてベットする気にならない」といったところでしょうか。

これが今後10年間で解消されてPERが世界水準並みに切り上がったとすれば、経済成長による上昇に加え、20~30%程度の更なる上昇が見込めると考えられます。
※2020年11月末のPERはコロナショックの影響による異常値とみなして考慮していません。

ただし、市場に植え付けられた不信感を払しょくすることはそう簡単なことではありません。中国政府が金融市場の透明性を重視する方向に舵を切るかも疑問であるため、過度な期待は危険と考えた方がよさそうです。

また、経済成長の加速についても難易度が高いと考えられます。良くも悪くも中国企業は中国向けに特化してしまっているため、経済成長を加速させるほどの海外進出が進む可能性はそこまで高くないと見ています。

当面、一人当たり実質GDP成長率は世界を上回って推移すると想定されますが、2032年には人口減少国に転じることも考慮すると、中国に対する10年後のマーケットの期待感が大きく高まる未来は描きにくいと言えます。

以上を踏まえると、世界株式を少し上回る程度のリターンは期待できるものの、前述した市場の不安定性から、そこまで魅力的な市場かと言われれば、微妙と言わざるを得ません。

ただし、一部では世界的に最先端の業界も存在し、eコマースはその代表例です。現在、中国のeコマースはさらに発展しおり、例えば、アリババはオンラインとオフラインを連携させた全く新しい小売業態を実現させようとしています。こうした企業は海外進出や新しい需要の創出などによる飛躍的な業績成長も十分に期待できるでしょう。

このように、中国には世界で活躍できるポテンシャルを持った企業は確かに存在するため、業界や企業を選別して投資することで世界株式を大きく上回るリターンを得ることが可能と考えます。

◆米国株式市場の見通し

続いては米国株式市場です。

米国株式の成長ストーリーは「GAFAMの世界征服」と「世界規模の需要を創出する新たな企業の出現」です。

世界征服とかギャグみたいなことを書いてますが、実は結構まじめな話です。

ハッキリ言って、ここ10年の米国株式のパフォーマンスは“できすぎ”としか言いようがありません。このため、マーケットの期待感(バリュエーション)が相当に高まっており、ここから過去10年と同じだけのパフォーマンスを実現するためには、それこそGAFAMが世界を牛耳るくらいの成長を遂げなければならないからです。

Facebookの“リブラ”やアマゾンの“アマゾンポイント”など、各国の中央銀行にとって代わるような片鱗も見せていますが、どこまで成長しようと米国の一民間企業であることには変わりありません。「他国の一民間企業が自分の国をいいように動かすことを全世界が受け入れる」なんてことは絶対にないと断言できます。少し前までは想像すらできなかった「各国がナショナリズムを重視する流れ」がそれを証明していると言ってよいでしょう。

もっと言うなら、米国内ですらGAFAMを脅かす芽は着実に出てきています。同じ米国企業内で喰い合う分には米国株式のパフォーマンス向上にはつながりません。

「GAFAMは今の地位を保ちつつ、新たな企業が全く新しい需要を創造し、世界を席巻する」

これが第2の米国株式市場の成長ストーリーです。

もちろん、米国はユニコーン企業が生まれやすい土壌があり、今後は先進国の中でも数少ない人口増加国となることから、革新的なアイディアを生み出すマンパワーが集まりやすい環境であることは確かです。

だからといって、「GAFAMに匹敵するような企業が米国から現れる」ことを前提とするのは楽観が過ぎると言えるでしょう。宝くじは一番多く買った人が一番当たる確率は高いに決まってますが、ハズレるときはあっさりハズレるんです。

米国のトップ企業はグローバル企業ばかりであるため、米国企業全体では世界経済と同程度の成長が期待できると考えますが、いかんせん足元のバリュエーションが高すぎます。今後10年は、世界株式を少し下回るパフォーマンスが私のメインシナリオです。

正直、中国と米国のどちらの順位を上にするか迷いましたが、メインシナリオが実現した時のパフォーマンスで中国2番、米国3番としました。

●中国
メインシナリオは世界株式を少し上回るパフォーマンスだが、上にも下にもブレる確率は結構高い。

●米国
メインシナリオは世界株式を少し下回るパフォーマンスだが、上にブレる確率は結構高い。

まとめるとこんな感じでしょうか。米国株式の安定性を考えると、投資初心者にどちらを勧めるかと言えば、間違いなく米国株式です(それよりも世界株式ですが)。

◆ユーロ圏株式市場の見通し

最後はユーロ圏株式市場です。

そして、残念ながらユーロ圏の成長ストーリーは「割安なバリュエーションの解消」くらいしか挙げることができません。

今後数年で人口減少地域になることやブレクジットの問題などもマイナスポイントと言えます。

・経済成長の巻き返しに期待⇒ドイツでいいじゃん
・個別のグローバル企業に着目⇒分析しやすい日本企業でいいじゃん
・高い医療技術に期待⇒セクター絞ればいいじゃん

要するに、ユーロ圏全体に漠然と投資する理由があまり見つからないということです。

このため、もし投資するなら、今の世界株式に対して割安な水準が何らかの形で見直されるのを待つことになると思います。

後は、環境意識が最も進んでる地域なのでESGのテーマでワンチャン?(それにしてもユーロ圏全体に投資する理由にはなりませんが)

以上から、メインシナリオとしては世界株式を下回るパフォーマンスを見込んでいます。

◆自分のシナリオを持つこと自体が大切

いかがでしたでしょうか?

「ザックリ」と言っておきながら、かなりダラダラとコメントしてしまいましたが、やはり将来のことを語るなら、ある程度は根拠を示さないと戯言になってしまうので勘弁してもらえればと思います。

本来ならシナリオを支持するデータや否定するデータの検証を交えながら、シナリオ確度を高めていくのですが、こうした分析はどこまでやっても終わりがないので割愛しました。

そして、本音はというと「よりもっともらしいコメントはできるようになるけど、労力のわりに当たる確率が大して上がるわけではない」ですw

そんなことより、「シンプルなデータから自分なりのシナリオを作っておき、そのシナリオに影響を与えるニュースやデータが出てきた時、適宜シナリオ作り変え、それに合わせたポジションを作る」というのがより実践的な投資方法だと考えます。

この記事を通して、私の予想を参考にするだけでなく、マクロ的予想のやり方そのものも吸収してもらえれば嬉しい限りです。


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