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傑作 美術ミステリー 原田マハ「楽園のカンヴァス」


幻の大作の謎に挑む

原田マハさんの作品にはこれまで触れたことがなかったが、ゴッホを扱った新作「リボルバー」の書評を読んで興味が湧いた。

最初に手に取ったのは、代表作とされる「楽園のカンヴァス」
山本周五郎賞受賞作だ。

この物語の主役となる画家は、アンリ・ルソー。遠近法を知らない日曜画家とも揶揄され、80年代にはまだ評価が定まっていなかったという背景も語られる。

そのルソーが残した幻の大作「夢を見た」を巡って物語が展開する。

MOMA(ニューヨーク近代美術館)が所蔵するルソーの「夢」と瓜二つの「夢を見た」。
大金を投じて手に入れた伝説のアートコレクターが、ルソー研究の専門家2人に真贋の鑑定を依頼する。優れた鑑定をした方に作品を委ねるという驚きの条件で。

アートそのものがミステリー

幻の作品はどのようにして生み出されたのか。そのヒントは一冊の本の中にあるという。
ルソーや、当時のパリの前衛芸術家たちの交流が描かれた物語。創作なのか真実なのか。読み進んでいくと、ある驚愕の可能性にたどり着く。

これ以上はネタバレになってしまうのでここまでにするが、優れたアートはそのものがミステリアスであり、ミステリーと相性がいいことが改めてわかった。

原田さんは、MOMAに勤めた経歴があり、専門知識に裏打ちされたストーリーは読み応えがあった。
他の作品も読んでみようと思う。

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