カレー竜

カレーの表面に目をこらすと、ふつふつと泡立つ一角がある。ウェルシュ菌が繁殖しているのだろうか? あなたは眉をひそめてスプーンを持つ手を止め、カレーの表面から湧き立つ角、そして黄金の鱗を見る。登り竜だ、景気がいいねぇ、厨房の男と目が合う。周囲の客も拍手や歓声で竜の登場を喜ぶ。小さな洋食店のカウンターテーブルで、あなたは気まずそうに誰にともなく頭を下げ、結局半分も食べずに店を出た。黄金色の竜は、あなたの頭上でとぐろを巻いて、ぷかぷかとパイプを吹かしている。兎年のあなたは恥ずかしそうに、うつむきがちに歩いた。以来どこへ行っても、「よ!年男」と囃され、竜は一層いい気になって長い尾であなたの髪を撫でまわす。

きりんの餌代受付中です🌲🍃