万世一系と皇位継承
先日、永遠の0などで知られる作家百田尚樹氏が日本保守党という政党を立ち上げた。
※支持しているわけでは全くなく、話題になっていたので記事のきっかけとして取り上げた。
この党の理念の中に万世一系という言葉が出てきた。
以下一部引用
万世一系とはなにか、そしてメディアでもよく出てきていて、与党内でも議論されている女系天皇とは何かなどについて書こうと思う。
言葉の定義
まず私は天皇陛下の存在は日本にとって、とても重要だと考えている。
また一般的に通じるように分かりやすい言葉で書くため、不敬かもしれないがご容赦いただきたい。
また、客観的な事実と自分の意見は可能な限り分けて記載するようにする。
まず万世一系とは何かということを考えるにあたって、今の皇位継承順位を整理すると
第一位、秋篠宮文仁親王
第二位、悠仁親王
である。
秋篠宮文仁親王は今上陛下(今の天皇)の弟に当たり、悠仁親王は文仁親王のご長男である(眞子さま、佳子さまの弟)。
そして今上陛下、令和の天皇が徳仁親王でその長女が愛子さま。
平成の天皇が明仁上皇である。
つまり、平成天皇がいてそのご長男が令和天皇。
皇位継承順位1位が令和天皇の弟で、第二位が令和天皇の弟のご長男だということである。
簡単に書くと今の天皇の子供は愛子さまで、今の天皇の弟が佳子さまとかのお父さんである。
ここで、「あれなんで一位は令和天皇のご長男じゃないのか」と思う人がいると思うが、男の子がいないため次が弟の文仁さまになっている。
万世一系
上記でわかったと思うが、現在の皇室典範(ルール)では皇位を継ぐことができるのは男性のみである。
そして万世一系とは、今の天皇のお父さまを辿れば必ずそれは天皇で、最終的には初代天皇の神武天皇に行き着くというのが万世一系の考え方である。
※神武天皇はいなかった、神話上の存在だという主張もよく聞く。
だが、神話上の神武天皇がいたかどうかは置いておいて、少なくともどこかに初代天皇はいるはずなので、それを神武天皇と呼ぶというのが作家竹田恒泰氏の説明なので、ここではそうする。
※神武天皇が即位してから経過した年数を皇紀と呼び、現在約2680年。ちなみに過去日本の戦闘機は採用された年の皇紀下二桁を名前にしていて、零戦は皇紀2600年に採用されているから零戦と呼ばれている。
またまたちなみにゼロは英語なので正確にはれいせんと読む。
百田尚樹氏たちが大切にしているのはおそらくこの考え方で、仮に父方を辿っても天皇とならない例外が出た場合、今後の歴史に大きな問題がでるということを危惧しているのだろう。
ここで勘のいい人は、女性が天皇になってもそれは万世一系は守られるのではないかと考えると思うが結論から言うとその答えはイエスだ。
例えば愛子さまのお父さまは天皇陛下でありそのお父さまも天皇陛下だ。
女性天皇
今回で言うと愛子さまが即位された場合は女性天皇となる。これは女性天皇が即位しても父方を辿っていけば必ず天皇になるからである。
ちなみにこれは過去に例があり、8人いるとされていて、その全員が父方に天皇の血筋を引いている。
※注:最古の例が推古天皇(西暦592-628)、最新が後桜町天皇(1762-1770)とのこと
女系天皇
よく女性天皇と混同しがちな概念として取り上げられるのが女系天皇である。今回の例でいうと女性天皇として愛子さまが即位されて、ご結婚され、その子供が皇位を継承した場合それが女系天皇になる。
この場合は、父方を辿っても神武天皇に行きつかない。
ここまでのまとめ
・万世一系とは父方を辿れば、必ず神武天皇(初代天皇)に行き着くと言う考え方
・女性天皇と女系天皇は異なり、女性天皇であれば万世一系の皇位継承に影響はない
「女系天皇?女の人が天皇やることでしょ?別にいいんじゃない?」と考える人がいるが、上記の通りそんな簡単な話ではないし、女性天皇と女系天皇の違いも知っている人は多くはないだろう。
疑問
ここでいくつかの疑問が出てきた。
・なぜ男系が護持されてきたのか
・女性天皇は今のままで実現可能か
・女性天皇が容認された場合の課題は何か
この疑問について書いていく。
・なぜ男系が護持されてきたのか
これは遺伝学上、ひいては染色体と関わりがある。
性染色体は女子ならXX、男子ならXYとなる。つまりY染色体は男子のみが持っている。このY染色体を受け継いできたと言うのが男系で一貫してきた重要な要因だ。例えばとある天皇の子が女子だった場合染色体はXXとなり、子の世代までは父親の遺伝子が含まれる(一つは父親のX)が、孫の代では必ずそうなるとは言えない。
このような考え方から男系が護持されてきたのであって、別に男女差別とかではなく科学的な理由が背景にあった。
※注:そこに男子優位の考え方が全く0であったかどうかはわからないが
・女性天皇は今のままで実現可能か
結論から言うとNOで、その理由は皇室典範第一章第一条に「皇位は、皇統に男系男子が、これを継承する」と記載があるため、もし女性天皇を容認するなら、この改正が必須である。
なお、憲法改正は不要というのが内閣法制局の見解である。
※ちなみに調べたところ、参議院憲法審査会で薗部逸夫という学者も憲法改正は不要という見解を示していた。
・女性天皇が容認された場合の課題は何か
女系天皇の場合の問題点は先ほど書いたが、女性天皇を容認した場合に考える必要のあることは何かというと、最初に書いた皇位継承順位の問題である。例えば愛子さまも皇位継承が可能になった場合、文仁さま(令和天皇の弟)とどちらが皇位継承順位はどちらが先になるのだろう?という問題だ。これも調べてみたところ、下記のような意見があった。
「皇室典範は直系を優先している。皇位継承資格を女性に認めた場合の順序は、天皇の直系の愛子内親王殿下を傍系となる秋篠宮殿下より優先する考え方になろう」
まあつまり、今の天皇の子供が優先されるべきであろうということである。ただしこれは何が正しいとかはないため議論がまだ必要な点であると思う。
各政党の考え
ちょっと古い情報だが下記のようにまとめている新聞記事があった。
自民党
女性天皇:検討中 女系天皇:検討中
公明党
女性天皇:検討中 女系天皇:検討中
国民民主党
女性天皇:賛成 女系天皇:検討中
日本維新の会
女性天皇:賛成(?) 女系天皇:反対(?)
立憲民主党
女性天皇:賛成 女系天皇:賛成
日本共産党
女性天皇:賛成 女系天皇:賛成
最後に自分の意見を書こうと思ったのだが長くなるので一旦ここまでとする。
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