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【読書】エマニュエル・トッドの思考地図

「思考する」とはなにか。

課題図書2冊目。
フランスの歴史人口学者トッド氏の思考がトレースできる本。
自分の仕事をどう構築していくか、どう相対していくか、のヒントが得られる書籍であった。

思考のフロー

1.インプット
・データ収集(読書+統計データ+地理的情報)+経験の蓄積
2.着想
・仮説+モデル化
3.検証
・分析(データ収集+比較+歴史的考察+分類)
4.分析/洞察
・法則の導き
5.予測
・決断し、結論付ける勇気。

”考える”のではなく”学ぶ”

いざ改まって「よし、考えよう、アイデアがわくのを待とう」ではなく、大前提として膨大な知識を蓄積すること。
考え始める前に、まずは材料をそろえる。
文献をひたすら読み、知らないことを知った時の感動こそが思考するということである。

”発見”とは何か

思考することの本質は、とある現象と現象の間にある偶然の一致や関係性を見出すということ
=発見する
膨大かつ複雑なデータを蓄積していると、突然体系だったアイデアを思いつく。そしてそれはたいていシンプルなものであり、誰にとっても明白で、理解可能なものになる。
これをブレークと呼び、何かがあるという感覚を得たとき、特異な点の意味を見出すことができたときのことを指す。

データの意味に気付く力

同じ数値を見たとしても、そのデータの中に潜んでいる意味に気付けるかどうかは、これまで学んだ基礎があるかどうかで変化する。
”普通である”という異常に気付けるかどうかは、積み重ねてきたインプットの質と量によって左右する。
そして予想外のデータを歓迎する。
また、”比較する”ということを積極的に行うこと。データ(特に数値データ)は単独で意味を持つわけではなく、他の何かと比べることで多様な体を成すものである。比較の技術を磨くには、自分のいる社会や世界の外をいくつも見て、それぞれを関連付けて考えることが必要である。

アウトプット

データを収集し、対比することで、予測につなげる。ここには想像力が必要であり、芸術的フェーズともいわれている。
ここでは自分の本能、直感、経験を自由に解放させ、まだ起きていない出来事についての予測を断行する。
そしてそこにはリスクが伴う。このリスクを負えるかどうかは、自身が社会にどのように関わっているかということにかかっている。


この本を読んでいる最中、「センスは知識の蓄積」という言葉を思い出していたのと、楠木健さんの著書「逆タイムマシン経営」に重なる内容であると感じていた。
自分の仕事の中でも、ひたすらにインプットしているとある日突然関連性が見えてきたり、自然と頭に散らばっていた情報が体系的に整理されてきたりするいわゆる”ブレーク”を感じるときがあった。
情報を収集し、蓄積し、比較し、違和感から逃げずに、リスクを認識しつつ結論を出す。
自分に足りないのは、興味の範囲外にも積極的に対象の目を向けることと、アウトプットにつなげること。
調査の寄り道も良いものだと思えた点は勇気づけられたし、インプットした情報から法則を導き仮説を立てるという流れを都度言語化していきたいと感じた。



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